AGA基礎知識
#AGA基礎知識
髪の生え際が極端に抜け落ちて悩んでいるという方、それはAGAの可能性があります。
髪の生え際が後退すると、見た目にも大きく影響してしまうため、早期に対処をすることが望ましいです。
そこで本記事では、髪の生え際が後退して悩んでいる方に向けて、髪の生え際の後退を食い止め、さらには改善する方法をご紹介します。
AGAの治療についても併せて解説するため、生え際の薄毛の根本的な解決方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
生え際の髪が薄くなる原因は1つだけではありません。最も多い原因はAGAですが、他にもさまざまな要因が絡み合っている場合もあるため、生え際の髪が薄くなる原因を知っておくと、状態を改善させる上では非常に重要です。
ここでは、生え際の髪が薄くなる原因について解説します。
生え際の髪が薄くなってきた場合、まず考えられるのがAGAの可能性です。
AGAは、男性型脱毛症とも呼ばれています。髪の毛の成長期が短くなることにより、髪が十分に成長できずにそのまま抜け落ちてしまい、薄毛を誘発している状態です。
放置し続けると、頭皮の髪がすべて抜け落ちる可能性もあるため、早い段階での改善が重要です。
また、AGAには男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が関係しています。
まず男性ホルモンのテストステロンが、II 型5α-還元酵素によってジヒドロテストステロンに変換されます。ジヒドロテストステロンは、毛包にあるアンドロゲン受容体に結合すると、ひげの成長を促しますが、一方で髪の成長を妨げてしまうのです。
通常、ジヒドロテストステロンが存在しても、毛髪サイクルは保たれており、すぐに薄毛になるわけではありません。ジヒドロテストステロンの刺激が強すぎると、毛髪サイクルの成長期が短くなることで、細くて短い髪の毛にしか成長できず、早期に抜けてしまいます。
ただし、髪の生え際が薄くなっているだけでAGAと判断することは難しく、ご自身がAGAかどうかを知りたければ、医療機関を受診して専門医の診察を受けましょう。
不規則な食生活は、生え際の髪が薄くなる原因となり得ます。
特に、高カロリー・高脂質な食べ物は皮脂の分泌を促進し、毛穴を詰まらせる原因となります。すると、髪が生えづらくなり、生えても細くて短い髪ばかりのため、髪が薄く見えてしまうのです。
また、糖分や脂質の過剰摂取は、血管系内の中性脂肪を増加させて血流を悪くします。血流が悪くなると、頭皮に十分な栄養が行き渡らず、こちらも髪の成長を阻害させてしまいます。
ほかにも、アルコールの過剰摂取は薄毛を促進する可能性があります。アルコールを摂取した後、肝臓でアルコールを分解すると、アセトアルデヒドという物質が残ります。このアセトアルデヒドは、ジヒドロテストステロンを増加させるといわれています。
また、アルコールを分解する過程では、髪に大切な亜鉛やアミノ酸、ビタミンなどの栄養素を大量に消費します。そのため、髪まで栄養が届きにくくなり、薄毛となる可能性が考えられるのです。
薄毛の原因の多くには、身体の中で起こっている事象が関係していますが、牽引性脱毛症のように物理的な刺激によって薄毛を引き起こしている可能性もあります。
牽引性脱毛症とは、長期間髪を同じ方向に引っ張ることで髪が抜けやすくなり、薄毛を誘発することです。
特に、ポニーテールや編み込み、お団子といったヘアスタイルをする方は、髪が後方に引っ張られることから生え際が薄くなりやすいとされています。
牽引性脱毛症の初期症状は、まだ髪が抜けやすいという程度ですが、長期間同じような髪形で髪を引っ張り続けると、毛包が障害されて生涯髪の毛が生えてこなくなる可能性も考えられます。
髪の生え際が薄い人の中には、遺伝的に髪が薄くなっていることがあります。
例えば、男性のAGAの主な原因として、毛包にあるアンドロゲン受容体の感受性に関連する遺伝的要因が考えられています。
アンドロゲン受容体とは、体がジヒドロテストステロンやその他のアンドロゲンに適切に反応できるように働くタンパク質です。
なお、アンドロゲン受容体を作る指示を出す遺伝子はAR遺伝子(androgen receptor gene)と呼ばれます。
AR遺伝子の突然変異により、アンドロゲン受容体の感受性が高くなると、通常よりもジヒドロテストステロンに刺激されやすくなります。その結果、毛髪の成長期が短縮してしまい、薄毛になるといわれているのです。
AR遺伝子は主に母方から遺伝すると考えられています。
また、両親とも薄毛でなくても、母側の祖父や曽祖父の生え際が薄毛であった場合には、自身も薄毛になるリスクが高いといえるでしょう。
生活習慣が乱れていたり、ストレスがたまっていたりしても、生え際の薄毛を誘発します。
前述したように食生活が乱れていれば、十分な栄養が行き届かなかったり、毛穴を詰まらせたりするため、薄毛に影響します。
またストレスがたまると自律神経が乱れ、頭皮の血流が悪くなることから、十分な栄養が行き届かずに薄毛につながります。
さらに、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を減少させ、髪の毛を十分に成長できずに薄毛となるのです。
ほかにも、過度なダイエットによる栄養不足や喫煙など、生活習慣の乱れは薄毛のリスクを高めるため注意が必要です。
生え際の髪が薄いかどうかは、人から指摘されるよりも自覚される方が多いです。
一方で、他人との比較が難しい側面もあるため、自身の髪の薄さが一般的に見て薄いのかどうか、対処が必要なのかどうかが分からないという方もいます。
結論として、髪の生え際が薄いことを明確に定める基準はありません。
ただし、以下のような状態であれば、生え際の髪が薄くなっていると判断できます。
生え際の髪が薄いかどうか気になる方は、以下の状態に当てはまるかどうかチェックしておきましょう。
目を見開いて眉を上げてできる一番上のシワに指を2本添えたとき、指2本分またはそれ以上に髪が後退している場合は、前髪が薄くなってきている可能性が極めて高いといえます。
頭皮にはしわができることがないため、額にあるしわの一番上の部分から先は頭皮である可能性が高く、髪が抜け落ちたことで額に見えている可能性があります。
また、指2本分で約2cmであるため、指2本分は2cm以上髪が後退したという意味を持ちます。
髪の生え際が2cmも後退するということは、髪が抜けたからという理由以外で考えることが難しいです。そのため、指2本以上後退している場合には、髪が抜け落ちて後退している可能性があるのです。
「髪が薄くなっているかもしれない…」という感覚は、自身の勘違いであったケースもあります。一方、家族や友人から幾度となく指摘されている場合は、本当に髪が薄くなっている可能性を示すものです。
家族や友人から指摘されることが増えた場合は、一度医療機関に相談するのも良いでしょう。
また、一人暮らしやリモートワークなどで普段から人と接することが少なく、指摘してくれる人がいないという場合には、以前撮った写真と今の姿を比較するのも指標となります。
抜け落ちた髪を触ってみたとき、明らかに以前よりも細くて短くなっている場合には、生え際が薄くなっている可能性が高いです。
髪が細くて短くなっているということは、つまり髪が成長をせずに抜け落ちた証拠です。
AGAによる薄毛であれば、髪の成長期が短くなることから、髪が細く短くなりやすい傾向にあります。
そのため、抜けた髪の毛が細くて短いという場合は、AGAを疑いましょう。
生え際の髪が薄くなるのを防ぎたい場合、セルフケアでもある程度は防ぐことが可能です。まずは、次でご紹介する対策を講じてみることをおすすめします。
ただし、ご紹介した対策で劇的に髪の状態が改善されるわけではないということを念頭に置いておきましょう。
生え際の髪が後退するのを防ぐためには、生活習慣を見直しましょう。
特に意識したいのが食事・睡眠・運動の3つです。
食事については、薄毛になる原因にも挙げた糖質や脂質が高い食事を避け、髪の成長に良い食べ物を積極的に摂りましょう。
髪の成長に良いとされる栄養は、タンパク質・シスチン・亜鉛・ビタミンです。
タンパク質は髪の毛の主成分であり、髪の毛の80~90%がケラチンと呼ばれるタンパク質です。
また、髪のタンパク質のうち14~18%には、シスチンというアミノ酸が含まれています。
さらに、亜鉛はシスチンを髪の毛を構成するケラチンへと合成させる役割を担い、ビタミンは中でもB群とEが髪の成長を促す栄養となります。
これらの栄養素をどれか一つ食べるのではなく、満遍なく摂取することで、髪の健やかな成長を促すことが可能です。栄養バランスを考慮しながら、普段の食事に満遍なく取り入れていきましょう。
睡眠に関しては、ただ長時間眠れば良いというわけではありません。
髪の成長を促すために睡眠をとる最たる理由が成長ホルモンの分泌です。
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されますが、特に22時から2時の間に多く分泌されます。
そのため、この4時間を含めて十分な睡眠時間を確保し、なおかつ良質な睡眠を意識しましょう。
良質な睡眠をとるためには、寝る前にブルーライトを浴びないようにしたり、寝る直前の飲食を控えたりすることが望ましいです。
最後に運動は、薄毛の改善に高い効果が期待される生活習慣と言われています。
特に、有酸素運動は酸素をしっかりと取り込みながら行うため、血流が良くなります。多くの酸素を頭皮に与えられるという観点からも、頭皮に栄養が行き届きやすくなり薄毛改善が期待できます。
運動する目安は、週に3~5回、1日のうち20分程度がおすすめです。
ただし、運動は無理して行うと、過剰な運動によって発生した活性酵素が頭皮の皮脂を酸化させ、かえって抜け毛を引き起こす可能性があります。
呼吸を意識しながら行うヨガやストレッチ、ウォーキングも効果的です。運動はご自身の無理のない範囲で試してみましょう。
生え際の髪が薄くなっているのが気になる方は、生え際の頭皮ケアにも力を入れてみましょう。
頭皮ケアと聞いてまず思い浮かぶのは、頭皮ケアができるシャンプーかもしれません。
シャンプーは育毛効果のあるものをぜひ取り入れてみましょう。
特にアミノ酸シャンプーは、育毛効果が期待できるとされています。
ほかにも、厚生労働省から「医薬部外品」の認可を受けている薬用シャンプーやスカルプシャンプーも、頭皮の環境を整え、髪の健やかな成長を促進する効果が期待できます。
さまざまな種類が展開されているため、ご自身に合ったシャンプーを取り入れてみましょう。
ただし、使用する上でかゆみやフケなどの異常が出た場合は、シャンプーが身体に合っていない可能性が高いです。
その場合は、シャンプーの使用をいったん中止し、医師へ相談してください。
また、頭皮ケアができるシャンプーを使うだけではなく、洗い方も重要です。
爪を立ててシャンプーをすると、頭皮が傷ついてトラブルにつながってしまいます。そのため、指の腹で優しく洗いましょう。
さらにドライヤーをし過ぎると、頭皮が乾燥して薄毛の原因となり、頭皮が濡れたままでは、頭皮に雑菌が繁殖する原因となります。
適度な距離を保ってドライヤーをかけ、髪の毛をしっかりと乾かしましょう。
特に牽引性脱毛症の可能性が高い方は、ヘアアレンジを変えてみましょう。
普段、お団子やポニーテールなどの生え際をひっぱる髪型をされている方は、ヘアアレンジをするだけで生え際の薄毛を食い止められます。
髪をおろして過ごす日を作ったり、ゆるく髪をまとめたりなど、工夫して過ごしてみると薄毛改善のためにも良いでしょう。
牽引性脱毛症が初期段階であれば、ヘアアレンジを変えるだけで生え際の薄毛を改善できます。
ここまでご紹介してきたケアを実践してきたが、生え際の後退が続いている、生え際の薄毛がまったく改善されないという方は、AGAの可能性が極めて高いといえます。
その場合は、AGAの治療を視野に入れてみましょう。AGAの治療をすることにより、状態の改善が見られるかもしれません。
AGAの検査や治療は医療機関でなければできないため、まずは皮膚科やAGA治療専門クリニックなどを受診し、AGAの検査を受けてみましょう。
AGAと診断された場合は、医師の指導のもと治療を行います。
ただし、AGAの治療は自費診療であるため医療費は全額自己負担となり、なおかつ治療の期間も長いです。
治療計画や自身の予算も踏まえた上で、医師とよく相談してから治療を受けるかどうかを決めましょう。
また未成年の場合は治療が受けられないこともあるため、、その点も理解しておきましょう。
内服治療とは、内服薬を服用して治療を行うことです。
AGAの内服治療では、主にフィナステリドやデュタステリドが使われます。
フィナステリドは、II型5-α 還元酵素に対する阻害剤として働き、デュタステリドはI型・II型双方の5-α還元酵素阻害剤として働きます。
内服治療をすることにより、テストテロンをジヒドロテストステロンに変換する5-α還元酵素の働きが抑制されることから、薄毛の根本的な解決へとつながる仕組みです。
個人差はあるものの、効果が出るまでには6カ月程度かかると言われているため、早期の効果は望めません。AGA治療は長期戦であることを念頭に入れておきましょう。
また、内服薬にはリビドーの減少や射精障害、勃起障害といった男性の性機能に副作用が出るとされています。
そのため妊活中の男性が内服薬を服用してしまうと、妊活に影響が出てしまうかもしれません。
ほかにもAGA治療専門クリニックでは、ミノキシジルの内服薬を用いることがあります。
ミノキシジルは高い発毛効果が期待できる一方で、副作用のリスクを伴うため、使用経験の豊富な専門医による治療が必要です。
ミノキシジルやアデノシンなどの外用薬は、生え際をはじめとする薄毛を改善できます。
ただし、頭皮に直接塗布して使用するため、皮膚が敏感な方は副作用が強く出るため使用できません。
言い換えれば、皮膚への副作用のみ回避できれば、内服薬が合わなかった方でも使用できるということです。
一般的に6カ月程度で効果が出るとされています。
なお、外用薬は発毛を促進するものであり、抜け毛を抑制することはできません。
抜け毛が多くて悩んでいるという方は、内服薬と外用薬をセットで使用するケースが多いです。
自毛植毛とは、自身の髪を薄毛の気になる部分に移植する方法です。自身の髪を頭皮ごと移植するため、元の髪と同様に髪をカットしたとしても再び髪が生えてきます。
自毛植毛をしている部分は、髪が生えてきているということからも、ジヒドロテストステロンの受容体が存在しない可能性が高いです。
つまり、根本的に薄毛を改善できる可能性があります。
またパーマやカラーリングなど、自由にヘアスタイルを楽しめる点も魅力といえるでしょう。
2015年度において世界全体で39万7,048件の実施例があり、このうちの約8割が男性です。
また女性の場合は治療を推奨されておらず、医療機関によっては断られるケースもあるかもしれません。
ご紹介してきた生え際の後退を防ぐケアや、AGAの治療には即効性がありません。
そこでケアや治療をしているが、すぐにでも薄毛を隠したいという方に向けて、外出時に髪の後退を隠すワンポイントアドバイスをご紹介します。
生え際の薄毛が気になる方は、トップにボリュームが出る髪型にしてみましょう。
トップにボリュームを出すことで、生え際の髪が薄くなっているのを隠すことが可能です。
髪を結う必要がある方は、ボリュームが出るようにトップの髪を少し引き出すと、生え際の薄毛が目立ちにくくなるでしょう。
男性の場合は、サイドを短くしてトップの髪を残すようにすると、生え際の薄毛が目立ちにくいです。
ほかにも、髪全体にパーマを当てると全体にボリュームが出て薄毛を隠せます。
ただし、パーマは薬剤や高温のアイロンを使用するため、髪が傷み抜け毛の原因となる可能性もあります。
生え際の薄毛を隠すためにパーマを当てようか悩んでいる方は、一度医師や美容師へ相談してみましょう。
帽子も薄毛を隠す手段として有効です。また、帽子は紫外線からも守ってくれるため、頭皮のダメージを防げるでしょう。
ただし、季節や被る環境によっては帽子の中が蒸れやすいです。
蒸れてしまうと頭皮に雑菌が繁殖して頭皮環境が悪くなり、薄毛を誘発する原因となります。
そのため、帽子をかぶって生え際の薄毛を隠す場合には、定期的に帽子を取って通気性を良くしたり、こまめに頭皮の汗を拭いたりして、頭皮を清潔に保ちましょう。
通気性の良い帽子を選ぶのも得策です。
生え際の薄毛や後退には、さまざまな理由があります。
日常生活が影響している場合であれば、生活習慣を整えることで状態を改善できるでしょう。
ただし原因がAGAだった場合は、治療をしなければ悪化する一方で、自力で状態を改善させるのは難しいといえます。
生え際の薄毛に悩んでいる方は、一度医療機関やAGA専門クリニックを受診し、AGAの可能性がないかチェックしてみましょう。
AGAならば、治療をすることで改善が見込めます。
生え際が薄くなってきても、悲観し諦める必要はありません。本記事を参考に、ご自身に合った方法で改善させていきましょう。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。