



AGA基礎知識
#抜け毛
シャンプー中やブラッシング中に抜け毛が多く、このままだと薄毛になってしまうのではと悩んでいる人もいるかもしれません。
しかし、抜け毛が多いからといって必ずはげるわけではありません。
本記事では、抜け毛が多いのにはげない理由や、抜け毛が多くなるメカニズムについて解説していきます。
抜け毛が多くて悩んでいる方、将来はげてしまわないか不安な方は、ぜひ参考にしてみてください。
抜け毛が多い理由を知る前に、まずは抜け毛のメカニズムを知っておきましょう。
髪の毛には毛周期と呼ばれる「成長期」「退行期」「休止期」の3段階があり、この毛周期を経て髪の毛は抜け落ちます。
この期間で何かしらのトラブルがあると、薄毛につながってしまうのです。
それでは、抜け毛のメカニズムについて詳しく解説していきます。
成長期とは髪が成長する時期のことです。
髪の約85%〜90%が成長期に当たると言われ、一般的に成長期は2〜6年ほど続き、この期間で髪の毛は一日に約0.4mm伸びます。
毛包と呼ばれる毛穴の奥に存在する毛乳頭が毛母細胞に働きかけることで、毛母細胞の細胞分裂が起こり、髪の毛が伸びていきます。
しかし、細胞にも寿命があるため、永久に髪の毛を作り続けることはできません。
寿命が来た細胞は次のステップへと進みます。
毛母細胞の寿命が来たら、毛を作り出す仕組みを作り替えることが必要です。
そのため、毛球部を含む下部を切り離し、毛包は退縮(縮小)するのですが、この時期を退行期といいます。
ヘアサイクルにおける退行期は約3週間とされており、この期間に新しい髪の毛を作る準備を始めているのです。
退行期の後、2〜3カ月ほど毛髪の成長を止めて、次の髪の毛を作るための準備を続けます。
この時期を休止期といいます。
新しい毛母細胞の成長が始まり、新たな髪の毛が作られると、それまで生えていた髪の毛は、新しい髪に押し出されるように自然と抜け落ちます。
1日当たりの抜け毛の量は、個人差や季節、ヘアケアの仕方にもよりますが、おおよそ100本程度です。
しかし、次に生える髪の毛の成長がスタートしているため、1日に100本抜けてもはげることはありません。
抜け毛が増えると、このままはげてしまうのではないかと思う方も少なくありません。
ただし、正常な抜け毛と異常な抜け毛の違いを知っておくことにより、抜け毛の増加によって薄毛となる可能性があるのかどうかが分かります。
正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方は、次のとおりです。
抜け毛が正常か異常か見分けるためには、まず抜け毛の量をチェックしてみましょう。
ヘアサイクルから考えると、1 日に50〜100本ほどの抜け毛は生理的範囲内であるため、問題ありません。
また、秋は髪の毛が抜けやすい時期といわれているため、200本ほど抜けることもあります。
しかし、コンスタントに毎日100本以上抜けている場合は、ヘアサイクルから考えると異常な抜け毛となります。
とはいえ、抜けた髪の毛すべての本数を数えることは困難なため、以前と比べて抜け毛の量が増えているかどうかで判断しましょう。
抜け毛が増える秋を除き、床に落ちている髪の量が増えた、排水溝に絡まる髪の量が増えたという場合には抜け毛が増えている可能性があります。
一方、本数が少なくても髪が伸びると、量が増えているように感じる場合もあるため、ほかの見分け方と併せてチェックするのがおすすめです。
抜けた髪を見つけたら、毛根の状態も一緒にチェックしてみましょう。
健康な毛根はマッチ棒の先端のように、ふっくらと膨らんでいます。
また、毛根の先に白い膜のようなものが付着していますが、これは毛根鞘といい、毛根と頭皮をつなぎ止める役割を担うものです。
一般的に、毛根鞘は髪が抜けるときに残るため、毛根鞘が残っているということは、正常な過程を経て髪が抜けたという意味になります。
一方で、毛根の先端が尖っている、毛根に丸みが無い、毛根が全体的に黒い、毛根の先から細い糸のような毛が出ているという場合は、異常な抜け毛である可能性が極めて高いです。
また、毛根の先端が白くてもベタベタしている場合は、毛根鞘ではなく皮脂が付着しているかもしれません。
この場合も、皮脂の異常分泌によって髪が抜けていると考えられ、異常な抜け毛に該当します。
日本人男性の場合、髪の毛の太さは0.08mm〜1mm程度が標準とされており、これより細い状態で抜けていると異常な抜け毛である可能性が高いです。
ただし、この基準は20代男性の平均的な毛の太さといわれており、年齢を重ねると徐々に髪の毛は弱くなります。
太さの目安としては、40代後半で0.07mm程度、50代後半で0.065mm程度です。
とはいえ、抜けた髪の太さをすべて測るのは不可能なので、抜けた髪が今までと比べて細くなっているかどうかで判断しましょう。
落ちている抜け毛を見ただけでは、頭のどこから落ちてきたのか分からないかもしれません。
しかし、シャンプー中やブラッシング中など、生え際と頭頂部から髪が抜けることが多い場合には要注意です。
生え際と頭頂部の抜け毛は、AGAである可能性が極めて高いです。
AGAの場合はそのまま放置をしていても、自然と改善することはなく、どんどん抜け毛の量が増えてしまいます。
頭頂部と生え際の抜け毛が増えている場合には、できるだけ早く医療機関に相談するなど対策を講じましょう。
生え際の抜け毛についてはこちらでも詳しく紹介しています。
髪の生え際が極端に抜け落ちて悩んでいるという方、それはAGAの可能性があります。 髪の生え際が後退すると、見た…
抜け毛のひどさを実感するのは、主にシャンプー中である方も多いでしょう。
排水溝が髪の毛で詰まってしまった、手に髪の毛がたくさん絡まるなど、抜け毛が目で見て明らかに分かるのがその理由ともいえます。
シャンプー中の抜け毛がひどくなる原因は、次のとおりです。
シャンプーが合っていないと、洗髪中に髪が抜ける原因となります。
シャンプーには皮脂汚れをきれいに洗い流すために、界面活性剤という成分が使われています。しかし、この界面活性剤は強い洗浄力で皮脂を洗い流す一方で、皮膚が弱い方には刺激となる成分なのです。
界面活性剤が頭皮や髪への刺激になったり、アレルギーを引き起こしたりすると、抜け毛が増える原因となってしまいます。
特にアトピー体質・乾燥肌・敏感肌の方は、界面活性剤のみならず、シャンプーに含まれる成分全般において刺激を受けやすいため、注意が必要です。
また、以下の症状が出ている場合はシャンプーが合っていない可能性があるので、シャンプーを見直しましょう。
● かゆみがある
● 湿疹ができる
● フケが出やすい
● 頭皮がすぐにベタつく
● 頭皮が突っ張る
質の良いシャンプーや育毛シャンプーを使っていても、洗い方が間違っていれば、抜け毛につながってしまいます。
爪を立ててゴシゴシと洗ったり、強くこすったりすると、頭皮が刺激を受けてダメージが加わります。こうして頭皮や毛根が傷つき、抜け毛の原因となるのです。
また、シャンプーを直接地肌につける、シャンプーが泡立たないうちに洗い流す、シャンプーのぬめりが残っているのにすすぎを終えるなど、適切な方法で洗髪できていなければ、頭皮に残ったシャンプーが刺激となり、頭皮環境が悪くなります。
さらに、頭皮に残ったシャンプーが毛穴に詰まることで、髪の成長を阻害し、抜け毛の原因にもつながってしまうのです。
頭皮環境は前述の誤った洗髪方法や、後述する生活習慣などさまざまな原因で悪化し、頭皮環境が悪化すると抜け毛の増加につながります。
頭皮には複数の常在細菌がおり、それぞれの細菌がバランスを保ちながら頭皮環境を維持しています。
しかし、頭皮環境が悪化すると、常在細菌のバランスが乱れ、さまざまな悪さをするのです。
特に、常在細菌の一つであるマラセチア菌は、抜け毛に関係していると言われており、頭皮環境の悪化でマラセチア菌が増えると、抜け毛が増えてしまいます。
洗髪中に髪がたくさん抜ける場合は、AGAの可能性も考えられます。
AGAとは男性型脱毛症とも呼ばれる病気で、発症する原因は男性ホルモンが関係しています。
男性ホルモンの一つであるテストステロンが、5αリダクターゼによってジヒドロテストステロンに変換されます。
このジヒドロテストステロンが毛包にある受容体に結合することで、脱毛因子を発し、毛周期における成長期が短くなり、抜け毛につながるのです。
特に、髪を洗っている際に頭頂部と生え際からの抜け毛が増えている場合には、AGAが関係している可能性が極めて高いといえるでしょう。
また、AGAは40代以降の男性に多いですが、若い男性でも発症しないとは限りません。
そのため、40代以降でなく抜け毛が増えている方も、若いから大丈夫とは思わずに、一度医療機関に相談することをおすすめします。
生活習慣の乱れやストレスは、頭皮環境を悪化させることから抜け毛の原因となり、偏った食生活や睡眠不足は、髪の成長を阻害して髪が抜けやすくさせます。
また、強いストレスを受けた場合も、自律神経が乱れることで全身の血流が低下し、頭皮環境が悪化して髪の成長を阻害してしまいます。
そのため、髪が抜けやすくなったと感じた場合は、生活習慣が乱れていないか見直すことも重要です。
シャンプー中に髪の毛が抜けることは、ごく自然な現象です。
1日に抜ける髪の毛の6〜8割は、シャンプーをしている際に抜けるとされているため、シャンプー中の抜け毛が多いからといって、過度に心配する必要はありません。
シャンプー中に抜ける髪の毛の本数は、1日に抜ける量が100本程度と仮定すると、約30〜60本程度であれば抜け毛の量として問題ありません。
また、シャンプー中は排水溝に髪がたまったり、手に絡まったりするため、抜け毛が多いと感じることもありますが、大体が30〜60本程度で収まっています。
ただし、以下の状態に当てはまった場合は一時的に抜け毛が増える可能性があるため、経過を見ていく必要があります。
春と秋は人間の換毛期といわれていますが、特に秋は、夏に受けたダメージが蓄積されていることもあり、ほかの季節と比較して抜け毛が多い傾向にあります。
夏に受けるダメージというのは紫外線のことで、紫外線は髪の内部構造に影響して抜け毛を増やすことが分かっています。
加えて、猛暑によって夏バテして食欲が低下すると、さっぱりした食べ物ばかり食べてしまい、栄養不足になりやすいです。
すると、髪の成長に必要な栄養が十分に摂れず、抜け毛を誘発してしまいます。
また、秋になると湿度が下がって空気が乾燥するため、頭皮が乾燥しやすくなったり、髪が傷みやすくなったりして髪が抜けやすくなります。
冬になると抜け毛の量は落ち着くため、あくまでも一時的なものですが、秋は抜け毛の量が増えるということを理解しておきましょう。
一部、感染症においては後遺症で抜け毛を発症するケースがあります。
現在、後遺症として抜け毛が発症することが分かっている感染症は、白癬菌感染と新型コロナウイルス感染症です。
新型コロナウイルス感染症については、まだ原因がはっきりと解明されていませんが、急性休止期脱毛症によって起こっているという説が有力です。
急性休止期脱毛症とは、妊娠・分娩、ストレス、外科的ショックなどが原因となり、成長期や退行期の髪の毛が一気に休止期に入ることで抜け毛が増加してしまう病気です。
つまり、新型コロナウイルスそのものの影響ではなく、コロナ禍の強いストレスにより、急性休止期脱毛症が起こっていると考えられています。
抜け毛の症状が出てくる時期は、新型コロナウイルス感染症に感染してから6週間後と言われていますが、こちらもまだ研究段階で個人差があります。
これらの感染症に罹患した後は、一時的に脱毛が増えるということを理解しておきましょう。
抜け毛が多い場合、何かしらの対処をしなければ改善は見込めません。
抜け毛が多くて悩んでいる、なんとか改善したいという方は、次の対処法を試してみましょう。
抜け毛が多いと感じたら、正しい方法でシャンプーをしてみましょう。
まずは、ぬるま湯のみで髪と頭皮を洗う「予洗い」を行い、その次にシャンプーを手に取って少量のお湯を混ぜ、しっかりと泡立てます。
シャンプーが泡立ったら、泡を頭皮に直接つけるのではなく髪につけて、頭皮をやさしくもみほぐすようなイメージで洗いましょう。
洗い終わったら、しっかりと泡をシャワーで洗い流し、すぐにタオルドライをします。
タオルドライ後は、地肌に温風を当てないように意識しながらドライヤーをかけ、髪をよく乾かしたら終了です。
これらの方法を意識し、正しく洗髪することで、抜け毛の量を減らせるでしょう。
抜け毛にはシャンプーも関係するため、ご自身に合ったものを選びましょう。
中には、刺激の強いシャンプーで汚れを完全に取りたいと思う方もいるかもしれません。しかし、刺激の強いシャンプーでは、頭皮の健康が維持できず、かえって抜け毛が増えてしまいます。
特に洗浄力が強い高級アルコール系シャンプーは、頭皮にとって刺激となり、炎症を引き起こすリスクがあります。
そのため、アミノ酸系シャンプーなどの合成界面活性剤が含まれておらず、保湿力の高いシャンプーがおすすめです。
また、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎など、皮膚の病気に罹患している方はご自身の体質に合ったシャンプーを選ぶ必要があります。
皮膚炎がある方は、皮膚科医に相談した上でシャンプーを選ぶと良いでしょう。
シャンプーに加え、頭皮ケアも抜け毛の予防につながります。
シャンプーと併せて取り入れたいのが、頭皮マッサージです。
頭皮も皮膚であるため、凝り固まることがありますが、血流が悪くなって髪の成長に必要な血液や栄養成分が十分に供給されません。
シャンプー中やドライヤー前の時間を活用して、頭皮をマッサージしてあげましょう。
また、紫外線によるダメージも蓄積すると抜け毛の原因となるため、外出時には帽子をかぶり、紫外線から頭皮や髪を守るのもおすすめのケア方法です。
日常生活を整えることも抜け毛予防につながります。
抜け毛予防のために意識したい生活習慣は、食事・睡眠・運動・ストレスの4つです。
食事はバランス良く摂取することが望ましいですが、特に髪の成長に有効な亜鉛、たんぱく質、ビタミン類を積極的に摂りましょう。
また、睡眠不足だったり、質の良い睡眠がとれていなかったりすると成長ホルモンが分泌されずに髪の成長を阻害します。
睡眠前のスマホやPCの操作を避けるなど、質の良い睡眠がとれるように意識しつつ、早寝早起きを心掛けましょう。
運動は血液の巡りを良くするため、習慣づければ十分な栄養を頭皮に送ることができます。
さらに、前述したようにストレスは自律神経を乱し、結果として全身の血流が低下して髪の成長を阻害するため、適度にストレスを発散させましょう。
運動もストレス発散に効果的なので、抜け毛予防のためにも運動習慣をつけると一石二鳥でしょう。
抜け毛がAGAによるものである場合は、治療をしなければ改善は見込めません。
特に頭頂部や生え際の抜け毛はAGAの可能性が高いため、AGAの治療を検討しましょう。
AGAの治療には、主に内服薬と外用薬の服用があります。
内服薬は、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換することを防ぐ目的で使用し、外用薬は髪を育てるために使用します。
どの薬がご自身に合っているかは医師が診断して処方してくれるため、気になる方はAGA治療の専門医へ相談してみましょう。
最後にシャンプーと抜け毛に関してよくある質問をまとめました。
シャンプーと抜け毛に関する疑問点は、ここで解消しておきましょう。
洗髪時には、髪を洗うために頭皮をこすること、水分を含んでいること、抜け毛が排水溝にたまって間近に見られることから毛髪が多く抜けていると思われるかもしれません。
しかし、通常抜けているのは30〜60本程度で1日に抜ける量の半分程度の場合がほとんどです。
男性ホルモンには、テストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロンなどがあります。
結論、男性ホルモンの総量が多くてもはげません。
薄毛につながるのは、ジヒドロテストステロンというテストテロンが5αリダクターゼによって変換されたものです。
シャンプーやリンスはご自身の肌質に合ったものを選びましょう。
肌質に合っていないものは、かえって頭皮に炎症を起こし、薄毛を助長させます。
そのため、刺激の少ないシャンプーを選ぶと、より抜け毛予防に効果的でしょう。
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抜け毛の量は、1日当たり100本程度までは許容範囲となっているため、毎日100本程度抜けたとしても薄毛を心配する必要はありません。
しかし100本以上が毎日抜けていると、はげる可能性があるため、適切な対策が必要です。
抜け毛の量が多くなる原因は、生活習慣の乱れや使用するシャンプーなど、さまざまあります。
特にシャンプー中は髪が抜けやすいため、正しい方法でシャンプーをしたり、ご自身に合ったシャンプーを選んだりすれば、抜け毛の数を減らせるかもしれません。
また、もしも抜け毛改善のために対策をしていても改善が見込めない場合は、AGAの可能性も視野に入れて治療をすることがおすすめです。
抜け毛が多いのは仕方がないと考えるのではなく、適宜抜け毛の量をチェックしながら、治療の必要性を検討していきましょう。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。