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自毛植毛とは?メリットやデメリット、費用や経過について詳しく解説

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AGAの治療法としてあまり知られてはいないものの、高い効果が期待できる施術のひとつに「自毛植毛」があります。

自毛植毛は、AGAの治療法として優先度が低いこともあり、治療をしたことがない方が多く、どのような治療なのか詳しい情報も少ない傾向にあります。

そこで本記事では、自毛植毛とはどのような施術なのか、メリットとデメリット、費用、経過について解説していきます。現在AGA治療中の方や薄毛が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

    自毛植毛とは

    自毛植毛とは、薄毛部分へ自身の髪の毛を移植する治療法です。

    後頭部や側頭部は薄毛になりにくい箇所であるため、この部分から薄毛になっている箇所に移植をして、発毛のサポートを行います。

    AGAの治療指針ともなるAGA診療ガイドラインにおいて、自毛植毛の推奨度は男性がB(行うように勧める)、女性はC1(行っても良い)となっており、男性の方が治療の優先度が高い傾向にあります。

    それでは、自毛植毛のメカニズムや具体的な治療法、成功率について詳しく解説していきます。

    自毛植毛のメカニズム

    自毛植毛では、移植された頭髪が植えつけられた場所でも、ドナー部(移植前の部分)と同じ性質を持ち続ける「ドナードミナンス」という原理を基に行います。

    AGAの影響を受けにくいとされている後頭部や側頭部の毛髪を毛包ごと採取し、移植したい部分に植え込みます。

    すると、頭皮から栄養や酸素が毛包に届けられるようになり、徐々に髪が生えてくるという仕組みです。

    一方、自毛植毛に対して、一度髪が薄くなった部分に毛包を植えても意味がないと感じている方も多いです。

    しかし、後頭部や側頭部から採取した毛包は、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの影響を受けにくいとされています。

    そのため、移植した毛包はこれまで通りに髪が生えたり、抜けたりといったサイクルを繰り返すことができるのです。

    自毛植毛の治療方法は4種類

    自毛植毛には、主にFUE法、FUSS法、ニードル法、ロボット植毛の4種類があります。
    それぞれに異なった特徴があり、施術をされる方のニーズに沿って選ぶことが必要です。

    以下では、自毛植毛の治療方法についての特徴やメリットなどを詳しく見ていきましょう。

    FUE法

    FUE法とはFollicular Unit Excisionの略で、直径約1mm程度の小さなパンチプライヤーを使用し、毛根を根元からくり抜いて移植する方法です。

    これまでは、後述するFUSS法が自毛植毛の主流でしたが、FUSS法は移植する部分を切る必要があり、さまざまなデメリットが生じていました。

    一方、FUE法は「切らない自毛植毛」ともいわれており、移植する髪を毛根部分からくり抜くのみなので、くり抜かれた部分の傷がほとんど目立たず、痛みも少なく済みます。

    また、高密度移植が可能となることから、近年ではFUE法が主流となってきているのです。

    しかし、施術に時間がかかることや、施術者の技量によっては思った通りの施術ができないなど、課題点もあります。

    また、毛包のダメージがひどい場合や頭皮の調子が悪いと、FUE法での自毛植毛はできません。

    FUSS法

    FUSS法はFollicular Unit Strip Surgery法の略称で、後頭部の頭皮を約10〜20cmの帯状に薄く切り取ったあと、そこから移植に使う健康な毛根を採取して植毛する方法です。

    FUE法はあらかじめ株ごとに毛包を採取していますが、FUSS法は頭皮を先に少し切り取り、そこから移植できる髪を探して株分けをします。

    また、高度な技術を必要としないことから、費用面をかなり抑えた施術が可能です。

    さらに、毛包の採取時にかかる時間が少ないのもポイントといえるでしょう。

    ニードル法

    1992年、美容大国である韓国で誕生した植毛方法で、細い専用の植毛針を使い、穴あけと植え込みを同時に行う方法です。

    これまでご紹介した2つの方法は、毛穴周囲の組織も切り取るため、少なからず痛みや負担がかかっています。

    一方、ニードル法では毛髪1本1本を使用して埋め込んでいくため、痛みや負担が少なく、より自然な仕上がりを実現できるのです。

    ただし、1本ずつ植毛するので医師の技術が必要な上に、施術に時間がかかることから、施術料金が高額となる傾向にあります。

    また、生え際などの狭い範囲ならば効果が期待できるものの、広範囲への施術は難しいです。

    さらに、ほかの自毛植毛と比べて、ショックロスによる一時的な脱毛が起こる可能性が高く、生着にも時間がかかります。ショックロスについては、後ほど詳しく説明します。

    ロボット植毛

    ロボット植毛とは、最先端の医療技術ロボット「ARTAS」を使って行う植毛です。

    自毛植毛の3工程である「毛の採取」「スリット作成」「植毛」をロボットとAI技術で行います。

    ロボットによる施術のため、時間をかけずに質の高い施術が可能で、施術を受ける方の負担が軽くなる点が最大の特徴です。

    一方、最先端の医療ロボットを使うことから、これまで紹介してきた施術法よりも高額な費用がかかります。

    自毛植毛の成功率

    自毛植毛を検討している方にとって、自毛植毛の成功率は非常に重要なことかもしれません。

    AGA治療ガイドラインによると、自毛植毛の生着率は82.5%とされています。

    生着とは移植した組織が正常に機能することであり、自毛が生着すれば植毛は成功と考えて良いでしょう。

    ただし、成功しているか判断できるのは10カ月以降となるため、根気強く経過を見ていかなければなりません。
    また、自毛による植毛の成功率は高いですが、一方で人工の毛を使った人工毛植毛については、生着せずに抜け落ちる例も多く報告されています。

    自毛植毛のメリットとデメリット

    自毛植毛をするに当たり、どのようなメリットやデメリットがあるのか気になる方もいるでしょう。
    ここからは、自毛植毛によるメリット・デメリットを詳しく見ていきます。

    自毛植毛のメリット

    自毛植毛には多くのメリットがありますが、ここでは代表的な3つを解説していきます。

    薬を服用しなくて良い

    薄毛はさまざまな原因によって発症しますが、そのほとんどがAGAによるものとされています。

    薄毛の原因がAGAの場合は、自然に改善することは見込めず、薬の服用や塗布をしなければなりません。

    しかし、副作用の懸念から長期的な薬の使用を躊躇する方や、あるいは持病によって薬が服用できないという方もいるでしょう。

    その点、自毛植毛は薬を使用しなくても、薄毛の改善効果に期待できます。

    実際に「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」においても、薬での治療効果が望めなかったり、他の治療ができなかったりする場合に取り入れるべき治療法としています。

    定着すれば10年以上でも髪が生え続けることが期待できる

    そもそも自毛植毛のために選ばれたドナー(植毛する毛)は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の毛です。

    そのため、一度植毛をして定着すれば10年以上でも髪が生えてくることが期待できます。

    先述したように、自毛植毛の生着率は82.5%とされており、多くの方が施術後は問題なく髪が生え続けています。

    実施例が豊富

    自毛植毛は、聞き慣れない方もいるかもしれませんが、実施例が非常に豊富な施術です。

    実際、2015年度において世界全体で 39万7,048件の実施例が報告されています。

    このうち、男性の実施例は84.7%、女性は15.3%です。

    2015年以降、自毛植毛を実施する医療機関が増えていることを鑑みると、実施例はさらに増えていると思われます。

    自毛植毛のデメリット

    多くのメリットがある自毛植毛ですが、もちろんデメリットもあります。

    自毛植毛を検討する際には、メリットのみならずデメリットについても注視する必要があります。

    自毛植毛のデメリットは、次のとおりです。

    費用が高い

    自毛植毛は、AGA治療の中でも特に高額な治療方法で、治療相場は約70〜150万円程度とされています。

    また、治療費用は植毛する髪の数が多いほど高額になり、さらにAGA治療には保険が適用されません。

    そのため、自毛植毛も自費診療となるため、上述した金額をすべて自費で賄わなければなりません。

    自費診療の場合は、医療機関が費用を設定できるため、時代や物価の影響によって相場よりもさらに高額になることもあります。

    治療費がかさむという点が、自毛植毛の最大のデメリットといえるでしょう。

    施術の回数や本数に制限がある

    自毛植毛は何度もできる治療法ではなく、治療の回数や施術できる髪の本数が制限されています。

    自毛植毛が可能な回数は、一生涯で3〜6回、本数は10,000本〜15,000本程度です。

    そのため、生涯にできる回数や本数を考慮して治療計画を立てる必要があります。

    また、一度に施術できる本数にも制限があり、多くの本数を一度に移植すると生着しない可能性もあります。

    施術をしたいときに、好きなだけの施術ができない点も、自毛植毛のデメリットの一つです。

    永久に髪が生える保証はない

    高い生着率が報告されている自毛植毛ですが、永久に髪が生え続けるという保証はありません。

    10年後も髪が生え続けるという報告がある一方で、何かしらの理由によって髪が抜け落ち、それ以降生えてこなくなるというケースもあります。

    また、一度施術をした箇所への再施術は難しい場合もあります。

    自毛植毛を検討する際は、永久に髪が生え続ける保証はないことをあらかじめ理解しておきましょう。

    4ヵ月〜6ヵ月間抜け毛が増えることも

    自毛植毛から3〜4カ月以降、半年ほどの間に移植部分周辺の抜け毛が増えることがあります。

    これは、ショックロスとよばれる現象です。

    いきなり抜け毛が増えることで、驚かれたり、施術を失敗したと思われたりする方もいます。

    自然と新しい髪が生えてきますが、もしも心配な場合は、施術医に相談してみるとよいでしょう。

    自毛植毛の費用相場

    自毛植毛の費用は施術方法によって異なりますが、先述したように概ね70〜150万円程度が相場です。

    ここからは、自毛植毛の費用相場を施術ごとに解説していきます。

    ただし、自費診療のため医療機関によっても費用は異なります。
    また施術する部位によっても費用が異なるため、あくまで参考程度にとどめてください。

    FUE法にかかる費用

    FUE法にかかる費用相場は、基本料金が30万円程度、1株あたりの料金が900円〜2,000円です。

    植毛治療においては、ほとんどの方が1,000株程度は移植するため、施術全体の合計は約126〜250万円程度となります。

    FUE法は施術をする際、見た目の理由から刈り上げにする場合としない場合があります。

    刈り上げずにドナーを採取すると、施術中に長い毛髪が邪魔になるため、施術の難易度が高くなり、その分費用がかさんでしまいます。

    そのため、刈り上げをしない場合は50万円ほど費用が高額になるでしょう。

    FUT法にかかる費用

    FUT法にかかる費用は、基本料金が20万円〜25万円程度、1株あたりが660円〜1,000円です。

    1,000株移植した際にかかる費用は、86万円〜125万円程度であり、FUE法よりも費用を安く抑えられます。

    また、FUT法は一度に多くの株を移植できるため、何度も手術をしなくてもよいこと、施術自体がほかの方法と比べると手間がかからないことが、費用を抑えられる主な理由です。

    その他の追加費用

    自毛植毛はメンテナンスが不要な施術と言われています。

    そのため、一度治療をすれば再度施術をする必要が無く、メンテナンス代をはじめ、そのほかに追加の費用はかかりません。

    自毛植毛の経過を見るため定期検診をするケースもありますが、医療機関によっては無料で定期検診を行っているところもあります。

    アフターケアについては、医療機関によって考え方が異なるため、ご自身が治療を受ける医療機関へ確認してみましょう。

    自毛植毛の副作用として考えられること

    自毛植毛は手術を伴う治療法なので、少なからず副作用があります。

    ここからは、自毛植毛によってどのような副作用が起こる可能性があるのか、もしも副作用が起こったときの対応について解説していきます。

    出血

    自毛植毛では、皮膚を切り取ったり、穴をあけたりする工程があるため出血します。

    出血は治療直後からはじまり、2〜3日たつと徐々に落ち着いてきます。

    また、大量に出血することは少なく、大抵はにじむ程度の出血なので、ティッシュなどで抑えて止血すればすぐに止まるでしょう。

    ただし、4日以上たっても出血が続く、あるいは出血量が多いという場合は、一度施術をした医療機関へ相談してください。

    傷跡が残る

    自毛植毛は、頭皮を採取した際に点状や線状の傷跡が残ることがあります。

    ただし、髪が生えてくると隠れるため、徐々に目立たなくなるでしょう。

    ショックロス

    施術して3カ月〜4カ月後に、移植部位周辺の髪が抜けはじめることがあります。

    これは、ショックロスと呼ばれる現象です。

    ショックロスでは、もともとある髪の10%〜15%程度が抜けると言われていますが、発症から半年程度で再び髪が生えてくるため、一時的な現象とされています。

    ショックロスがなぜ起こるのか、具体的な原因はまだ分かっておらず、施術の際に使用した麻酔や移植部の炎症による影響などが考えられています。

    もしも抜け毛が起きてから数カ月たっても髪が生えてこない、髪が抜けたときに頭皮の出血があったという場合には、施術医に相談しましょう。

    痛みがある

    自毛植毛を行う際は、頭皮を切ったり、刃物で傷をつけたりするため、当然ながら痛みを伴います。

    特に、広範囲を切除するFUT法で強い痛みが見られることが多く、人によっては10日程度仰向けで寝られなくなることがあります。

    ほかの治療方法であっても、1〜2日間は痛みが生じますが、鎮痛剤を服用すれば徐々に落ち着いてくることが一般的です。

    ただし、痛みが長引く、徐々に強くなっているという場合には、傷からバイ菌が入って感染を引き起こしている可能性もあるので、施術医へすぐに相談しましょう。

    目の周りが腫れる

    施術後3〜4日目頃になると、突然額や目の周囲が少し腫れたり、赤く変色したりするという現象が起こります。

    これは施術時に使用した麻酔薬の影響と考えられており、1週間ほどたつと自然に落ち着きます。

    ただし、血行が良くなると腫れや変色が長引く可能性があります。

    腫れや変色が見られたら、激しい運動や入浴を避け、ゆったりと過ごしましょう。

    腫れが気になる方は、少し冷やしてあげると落ち着きます。

    髪に癖が出る

    移植後、最初に生えてくる髪は元の髪質を問わず、少しカールして生えてくる場合が多いです。

    髪の毛を植えるときの角度やゆがみが原因なので、後々もとの髪質と同様の髪が生えてきますが、最初は髪に癖が出ることを覚えておきましょう。

    ただし、もともと癖のある髪質だった方は、移植をしたからといって直毛にはなりません。

    自毛植毛をする上での注意点

    薄毛の治療として魅力的な自毛植毛ですが、注意点についても押さえておく必要があります。
    自毛植毛をするに当たり、注意するべき点は次のとおりです。

    生活の制限がある

    自毛植毛では前述した副作用を鑑みて、副作用が落ち着くまでに生活の制限を設けています。

    例えば、入浴や洗髪、運動、飲酒などが制限されます。

    一般的に、施術から1週間程度たてば制限は解除されますが、個人差があるため、人によっては生活の制限が長引く可能性もあるでしょう。

    また、施術後の副作用である痛みにより、生活に支障が出てしまう方もいます。

    特に仕事や学業を休む必要はありませんが、副作用によって生活がままならなくなるケースがあることを理解しておきましょう。

    自毛植毛ができない方もいる

    自毛植毛は、すべての方が必ずできる施術ではなく、人によって施術ができない場合があります。

    例えば、毛量が少なく、植毛する髪が採取できない場合は、自毛植毛ができません。

    また、糖尿病や精神疾患、心疾患がある方も、自毛植毛によって体調が悪化するリスクがあることから、施術する医療機関によっては施術を断られる可能性があります。

    植毛が合わない方へ

    植毛が合わない、治療ができないという場合は、AGA治療の薬物療法で育毛や抜け毛対策を行っていきましょう。

    もしも治療薬が使えない場合は、ウィッグや帽子を活用して薄毛を隠すのも方法の一つです。

    植毛が合わずどうすればいいのか悩んでいる方は、ひとりで悩まず、一度AGA治療の専門医へ相談してみましょう。

    まとめ

    自毛植毛は、施術例が多く、また生着率も高い治療法です。一度生着すれば、長期にわたって髪の毛を生やすことができます。

    ただし、手術を伴うため副作用があること、施術ができない方もいるという点も理解しておきましょう。

    また、自毛植毛は自由診療で全額自費となるため、高額な医療費がかかることも特徴です。

    加えて、自毛植毛をすれば必ず髪が生涯生え続けるという保証はなく、施術できる回数や本数にも限りがあります。

    自毛植毛ができなかった場合でも、さまざまな薄毛の治療法があるため、まずはAGA専門のクリニックへ相談してみましょう。

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