AGA基礎知識
#副作用
AGA治療に限らず、すべての治療において薬を使用した場合には必ず副作用の懸念があります。本記事では、AGA治療に使用される薬の副作用について詳しく説明します。
治療前に副作用について知っておくことで、安心・安全に治療が受けられます。
「AGA治療を受けたいけれど副作用が気になる」と悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
AGA治療とは、文字どおりAGAの治療を行うことです。
ここでは、AGA治療とは何かについて詳しく解説します。
AGAは男性型脱毛症とも呼ばれ、男性ホルモンがヘアサイクルを乱した結果、薄毛になる状態を指します。
髪の毛には成長期、退行期、休止期という3つの時期があり、成長期は2~6年、退行期は2~3週間、休止期は3~4カ月とされています。
ところがAGAになると、この一連の作用に異常が起こり、抜ける髪の毛がどんどん増えたり、十分に髪が成長できなかったりして、薄毛となります。男性ホルモンの一種であるテストステロンが、II型5α還元酵素によってジヒドロテストステロンに変換され、毛母細胞に存在する受容体に結合して、髪の毛の成長を妨げてしまうのです。
AGAの発症者割合を見てみると、20代は約10%、30代は20%、40代は30%、50代以降は40数%と、年齢が上がるにつれて発症リスクが高まることが分かっています。
AGA治療とは、薄毛の改善を目的とした治療です。
AGAを発症した場合、放置しているだけでは治りません。むしろ様子を見ている間にどんどん悪化し、髪の薄い部分が増えていきます。
そのため、「髪が薄くなっている」「経過を見ていたけれど悪化している」という場合には、なるべく早く治療を受けることが望ましいでしょう。
AGAの治療は主に治療薬を使って行われます。
治療薬を使っても状態が改善しないという場合には、他の治療も並行して行われます。
ここからは、AGAの治療法について解説するため、AGAになったらどのような治療をするのか気になるという方はぜひ参考にしてみてください。
AGA治療の第一選択として行われるのが薬物療法です。薬物療法は日本皮膚科学会による「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも推奨度Aとされており、AGAと診断された際にまず行いたい治療法です、
AGA治療法で行う薬物療法は主に2種類あります。
1つ目は内服治療で、後述するさまざまな薬物を使用しますが、共通する目的は抜け毛の予防です。テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する5α還元酵素を阻害することで、抜け毛の予防を行います。
もう一つの外用薬治療の外用薬は頭皮に直接塗布するもので、主に発毛を促進する目的で行います。外用薬治療で使用する薬剤は市販化もされており、内服薬よりも手に入りやすいです。
植毛とは、髪の毛を直接頭皮へ植え付けることで薄毛を改善させる治療法です。
ガイドラインでは、まず内服薬や外用薬治療を優先するべきとされているため、植毛は内服薬治療や外用薬治療をしてもまったく効果がなかった場合に行います。
ただし、医療機関によっては治療ができないこともあります。
また、日本で主に行われているのは自身の毛を頭皮に植え付ける植毛です。植毛はガイドラインにおいても82.5%と高い生着率が認められており、実施しやすい治療です。
一方で人工毛はアレルギーのリスクが高いことや、生着率が低いことから日本ではほとんど行われていません。
LED光療法とは、高輝度LEDの光を頭皮に直接当てて行う治療法です。
頭皮に当てた光が毛乳頭細胞の活性化を促し、発毛を促進させます。
薄毛治療に用いられる赤色LEDは波長が長いため頭皮の奥まで光が当たりやすいです。さらに髪の発育に必要な成長因子であるHGFやLeptin、VEGF-Aといった物質の濃度を上昇させることが確認されています。
そのため、髪の成長を促進する効果が十分に期待できるでしょう。
ガイドラインにおいても推奨度Bとなっており、行うことを勧められている治療です。
しかし、LED光療法を単独で行われるケースは少なく、他の治療と併行して行われる傾向があります。
薬を使用する以上は副作用が起こるリスクがあります。
AGA治療においてもさまざまな副作用が起こる可能性があり、注意しておく必要があります。
AGA治療をこれからスタートする方はぜひ参考にしてみてください。
AGA治療のうち内服薬治療は男性ホルモンに作用する治療法のため、男性ホルモンが関係する性欲減退の副作用が起こりやすいです。
また、薬なので服用による肝機能障害やアレルギー症状が出現する可能性もあります。
他にも外用薬であれば、皮膚に関するトラブルが起こることもあるでしょう。
ここからは薬の種類別に起こり得る副作用と注意点についてまとめました。
主に医療機関で処方される可能性のある薬を中心にまとめているため、自身が服用しているあるいは服用予定の薬の副作用は押さえておきましょう。
フィナステリド錠とプロペシアはどちらもフィナステリドを主成分とした薬剤です。テストステロンの還元酵素である5αリダクターゼII型を阻害して、薄毛を予防します
主な副作用は性機能障害、肝機能障害、アレルギー症状です。
特に性機能障害はもっとも発症頻度が高く、リビドー(性欲)減退が1~5%未満、勃起機能不全、射精障害、精液量減少が1%未満です。リビドー減退は内服薬を中止した後も副作用が持続することがあるため、注意する必要があります。
また、肝機能障害やアレルギー症状は発症頻度は低いものの、起こる可能性は0ではありません。アレルギー症状が起こるとかゆみや発疹が出現し、肝機能障害が起こると倦怠感や食欲不振、発熱、黄疸、発疹が出ます。
性機能障害が出た場合には服用を即中断する必要はないものの、なるべく早く医師に相談することがおすすめです。
一方、アレルギー症状や肝機能障害の症状が出現している場合にはすぐに服用を中止して、医師に相談しましょう。
ザガーロはフィナステリド同様、ガイドラインにおいて治療における推奨度が高い薬剤です。
ザガーロの特徴は、5αリダクターゼの活動をI型、II型どちらも阻害できる点です。そのため、頭部全体の薄毛が気になる場合には、ザガーロを選択したほうが改善を期待できるといえます。
主な副作用はプロペシアと同様に性機能低下であり、勃起機能不全、射精障害、精液量減少、リビドー減退といった症状が出現します。
発症頻度としては、勃起不全が11%、リビドー現象が8%、射精障害が4%であり、フィナステリドと比べると副作用が出現しやすいです。
フィナステリド同様に、副作用が出たら治療を中断して医師へ相談しましょう。
ミノキシジルタブレットはミノタブとも呼ばれている内服薬で、もともとは降圧薬として使用されていました。使用の過程で副作用として増毛が認められたことを背景に、AGA治療薬として活用されるようになったのです。
ミノキシジルタブレットは、発毛を促進する唯一の内服薬です。
一般的には外用薬が使用されていますが、一部のクリニックではミノキシジルタブレットの処方も可能です。
ミノキシジルタブレットの副作用として心臓に関する障害が挙げられます。胸痛や心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみ、体重増加などが出る可能性があり、進行すると重篤な副作用として心タンポナーデが起こり得ます。
ガイドラインにおいても推奨度はDとされており、治療への使用は勧められていません。しかし、知識と使用経験の豊富な専門医の判断のもとで適切に使用すれば、AGA治療でより高い効果を発揮できます。
アロビックスとは塗るAGA治療薬ともいわれており、カルプロニウム塩化物を含有した薬剤です。
カルプロニウム塩化物には血管拡張作用があり、頭皮に塗ることで血流を促進し、薄毛の改善が期待できます。
アロビックスの副作用として、皮膚に赤みやかゆみが起こる過敏症と、副交感神経が興奮することで発汗や発熱、悪寒、吐き気などが起こるアセチルコリン様作用があります。
ただし、アロビックスは副作用が起こる可能性が非常に低い点が特徴です。もしも副作用症状が見られたら、使用を中断して医師へ相談しましょう。
植毛後はすぐに効果判定をすることはできません。
自毛植毛では、植毛後1~2カ月経つといったん髪の毛が抜け、100日ほどの休止期に入ります。その後徐々に伸びてきて、最終的に効果判定に入れるのは植毛後10カ月ほど経ってからです。
植毛後しばらくして髪の毛が抜け落ちることで、失敗したと感じるかもしれませんが、一時的に抜け落ちているだけなので焦らず結果を待つようにしましょう。また、1回の植毛で思ったとおりの効果が出ず、複数回繰り返す場合もあります。
一方で人工植毛をした場合には、毛の脱落が認められることがあります。せっかく植毛をしたのに、すべての毛が抜け落ちることもある点を理解しておきましょう。
なおガイドラインによると、人工毛の植毛は原則として行うべきではないとされています。
光療法は他の施術と比べて副作用が起こりにくい施術といわれ、現在注目されていますが、まったく起こらないということではありません。
ガイドラインでは、光療法によって起こった副作用は、照射部の皮膚の乾燥が5.1%、瘙痒が2.5%、圧痛が1.3%、ひりつきが1.3%、温熱感が1.3%であったと報告されています。
ただし、光療法で使用する機器はまだ国内で認可されていないため、使用する機器によっても起こり得る副作用に違いがあります。そのため、上記以外の副作用が出る可能性があるという点も理解しておきましょう。
副作用はまったく起こらないとは言い切れません。そのため、副作用が出現した場合にどのように対応するべきかを知っておくことは非常に重要です。
ここでは、AGA治療で副作用が出現した場合にどのように対処すればよいのか、対処法について解説します。
医師によっては薬を減らして様子を見るケースもあります。
特にいくつかの薬を併用している場合には、減らすことで副作用を抑えられる可能性もあるからです。
ただし、自己判断で薬を減らすとAGAが進行したり、これまでの治療が無意味になったりする可能性があります。そのため、薬を減らすときは自己判断ではなく医師に相談してから行いましょう。
今内服している薬が体質に合わず副作用を起こしている可能性がある場合には、別の薬を処方してもらうことで副作用が改善できる可能性があります。
AGA治療薬はジェネリック医薬品も少しずつ増えており、種類が豊富です。
そのため、別の薬を処方してもらい、様子を見るケースもあります。
薬を変更したり、量を調整したりといった対処をしても副作用症状が続いている場合には、治療法を見直すことが必要です。
例えば、内服薬や外用薬で副作用が出ている場合には、植毛にしたり光療法に変更したりすることで副作用の改善が期待できます。
ただし、これらの治療法は推奨度としては内服薬や外用薬よりも低いため、内服薬や外用薬と比べて思うような効果が期待できないかもしれません。
AGA治療は一般的に皮膚科で行われていましたが、近年はAGA治療を専門とするクリニックも増えてきました。
そのため、AGA治療を検討する方は専門クリニックへ相談することもおすすめです。
専門医に相談することで、新たな解決策が見えてくるかもしれません。
AGA治療は、どの治療を選択しても副作用が起こる可能性があります。
特に内服薬治療をする場合には、性機能に関する副作用が出る可能性は高いといえます。
治療法によっては治療を中断しても副作用が続くケースがあり、日常生活に支障をきたすかもしれません。副作用症状が出現した場合は、医師と相談しながら治療の方針について決めていく必要があります。
AGA治療は、AGA専門クリニックで進めるのがおすすめです。副作用が心配でも、AGA専門クリニックなら多様な治療を受けられるため、自身にとってもっとも負担が少なく効果的な治療法を選べるでしょう。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。