AGA基礎知識

AGA治療はなぜ完治しないのか?!

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AGA治療を始め、「この治療はいつまで続くのだろう?」と、ふと終わりが見えない不安を感じていませんか。結論からお伝えすると、残念ながら現在の医療でAGAを「完治」させる、つまり治療をやめても髪が生え続ける状態にすることは困難です。

しかし、ここで諦めるのはまだ早いのです。なぜ完治しないのか、その医学的な理由を正しく知ることで、治療のゴールが明確になり、もっと前向きにAGAと付き合えるようになります。この記事では、AGAが遺伝とホルモンによって進行する仕組みから、治療の本当の目的である「症状のコントロール」、そして効果的な治療法までを詳しく解説します。

目次

    AGAが完治しない医学的な理由

    AGA治療を始めると、「この治療はいつまで続ければいいのだろう」と、ふと不安に思うことがあるかもしれません。

    結論からお伝えすると、残念ながら現在の医療技術ではAGAを「完治」させることは難しいのが現実です。ここで言う「完治」とは、治療をやめても髪の毛が元のように生え続ける状態を指します。

    しかし、なぜ完治しないのか、その理由を正しく知ることはとても大切です。理由がわかれば、治療のゴールを現実的に設定でき、前向きに治療と向き合えるようになります。

    ここでは、AGAが完治しない医学的な理由を、小学生にもわかるように丁寧に解説します。

    遺伝と男性ホルモンが引き起こす進行性の脱毛症

    AGA(男性型脱毛症)が完治しない最大の理由は、その原因がご自身の「遺伝」と「男性ホルモン」にあるからです。これらは生まれ持った体質であり、お薬で症状を抑えることはできても、体質そのものを変えることは難しいのです。

    AGAは、体の中で次のようなステップで進行していきます。

    1. 男性ホルモンが強力なタイプに変身する  髪の毛の根元(毛根)には、「5αリダクターゼ」という酵素があります。  この酵素が、男性ホルモン(テストステロン)を、より強力な「DHT(ジヒドロテストステロン)」というホルモンに変身させます。
    2. 強力なホルモンが髪の成長にブレーキをかける  変身したDHTが、髪の成長の司令塔である「毛乳頭細胞」にくっつきます。  すると、「髪の毛はもう成長しなくていい」という命令が出てしまいます。
    3. 髪の毛が育つ前に抜けてしまう  命令を受けた髪の毛は、太く長く成長する期間(成長期)が短くなります。  その結果、十分に育つ前に細いまま抜け落ちてしまい、薄毛が目立つようになります。

    この「酵素の働きやすさ」や「司令塔が命令を受け取りやすいか」は、ご両親から受け継いだ遺伝によって個人差があります。

    つまり、AGAは体質によって起こる「進行性」の脱毛症です。何もしなければ、髪の毛の成長サイクルが乱れたまま、症状がゆっくりと進んでいってしまうのです。この体質自体を変える治療法がまだないため、「完治」は難しいとされています。

    治療のゴールは「完治」ではなく「症状のコントロール」

    AGA治療は、風邪を治すのとは少し考え方が違います。風邪であれば、薬でウイルスを退治すれば「完治」します。

    一方でAGA治療は、高血圧や糖尿病といった、長く付き合っていく病気の治療に似ています。これらの病気も、薬で血圧や血糖値を良い状態に「コントロール」し続けることが目標になります。

    治療の考え方具体的な病気AGA治療におけるゴール
    完治風邪、骨折など病気の原因がなくなり、治療をやめても再発しない状態。
    コントロール高血圧、糖尿病など薬などで症状を抑え、良い状態を維持し続けること。

    AGA治療も同様に、お薬の力で薄毛の進行を抑え、症状を上手に「コントロール」することを目指します。

    治療のゴールは、患者さん一人ひとりのご希望によって変わります。

    • 現状維持:  これ以上、薄毛が進行しないように食い止める。
    • 発毛促進:  抜け毛を減らし、さらに髪の毛を増やして見た目の印象を改善する。

    治療を始める前に、ご自身がどこまで改善したいのかを医師としっかり話し合うことが大切です。納得できるゴールを共有することが、治療を長く続けていくためのモチベーションになります。

    治療中断で再発する?フィナステリドやミノキシジルの効果の限界

    AGA治療で中心となるお薬には、フィナステリドやミノキシジルがあります。これらのお薬は、薄毛の進行を抑え、発毛を促すためにとても有効です。

    しかし、これらのお薬はAGAの根本原因である体質を治すものではありません。

    • フィナステリド/デュタステリド(飲み薬):  抜け毛の原因となる悪いホルモン(DHT)が作られるのをブロックします。
    • ミノキシジル(塗り薬):  頭皮の血流を良くして、髪の毛を作る工場(毛母細胞)に栄養を届けます。

    お薬は、使っている間だけ効果を発揮します。もし自己判断で治療をやめてしまうと、ブロックされていた悪いホルモンが再び作られ始め、髪の工場への栄養も届きにくくなります。

    その結果、乱れていたヘアサイクルが元に戻り、数ヶ月かけて再び薄毛が進行してしまいます。これが治療薬の効果の限界であり、治療を継続する必要がある理由なのです。

    植毛は「完治」ではなく「毛髪の再配置」

    薄毛の見た目を大きく改善する方法として「自毛植毛」という選択肢もあります。

    これは、AGAの影響を受けにくい後頭部などの元気な毛根を、薄くなった部分に移植する手術です。移植された髪は、元の場所の性質を保ったまま生え続けるため、効果を実感しやすい治療法です。

    しかし、植毛もAGAを「完治」させる治療ではありません。これはあくまで「毛髪の再配置」、つまり元気な髪の毛のお引越しのようなものです。AGAという体質自体が治るわけではないのです。

    そのため、植毛を考える際には以下の点を理解しておくことが重要です。

    • 植毛していない髪は薄毛が進行する可能性がある:  お引越ししなかった元々の髪の毛は、AGAの影響を受け続けます。  何もしなければ、その部分の薄毛は進行する可能性があります。
    • 飲み薬などとの併用が望ましい場合が多い:  植毛した部分と、していない部分の髪の量のバランスを保つことが大切です。  そのため、植毛後もフィナステリドなどの飲み薬で、全体の薄毛の進行を抑える治療を続けることが推奨されます。

    植毛は非常に有効な治療法の一つですが、「完治」とは意味が異なることを知っておきましょう。

    主なAGA治療法4つの効果と副作用

    AGA治療にはどんな方法があるのか、気になりますよね。 治療は長く続くものだからこそ、事前に正しい知識を持つことが大切です。

    AGA治療の基本は、大きく分けて2つあります。

    1. 守りの治療:  抜け毛の原因をブロックし、薄毛の進行を食い止める。
    2. 攻めの治療:  髪の毛が育つ環境を整え、発毛を後押しする。

    この2つの治療を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。 ここでは、それぞれの治療法の効果と注意点を詳しく見ていきましょう。

    内服薬(フィナステリド・デュタステリド)による抜け毛抑制効果と性機能への影響

    まずご紹介するのは、抜け毛にブレーキをかける「守りの治療」である飲み薬です。 AGA治療で主に使われる飲み薬には、2つの成分があります。

    • フィナステリド
    • デュタステリド

    これらの薬は、薄毛の原因となる悪いホルモン(DHT)が作られるのを防ぎます。 その結果、乱れていたヘアサイクルが正常に近づき、抜け毛が減っていきます。

    一方で、お薬である以上、副作用の可能性もゼロではありません。 特に男性ホルモンに作用するため、性機能に関する影響が報告されています。

    • 主な副作用の例
      • 性欲の低下
      • 勃起機能不全(ED)
      • 精液量の減少
      • 肝機能障害 など

    ただし、これらの副作用が起こる頻度は、全体の1%〜数%程度とされています。 ほとんどの方は問題なく服用を続けられますが、ゼロではないことも事実です。

    もし体に変化を感じた場合は、ご自身の判断で服用をやめないでください。 必ず処方してくれた医師に相談することが何よりも大切です。 薬の量を調整したり、種類を変えたりすることで対処できる場合がほとんどです。

    外用薬(ミノキシジル)の発毛効果と初期脱毛のリスク

    次にご紹介するのは、髪の毛を生やす力を後押しする「攻めの治療」です。 その代表的な成分が「ミノキシジル」という塗り薬です。

    ミノキシジルには、頭皮の血管を広げて血流を良くする働きがあります。 髪の毛を作る工場である「毛母細胞」に栄養がたくさん届くようになります。 その結果、細く弱々しかった髪の毛が、太く健康に育つのを助けます。

    この塗り薬を使い始める際に、知っておいてほしい現象があります。 それが「初期脱毛」です。

    • 初期脱毛とは?
      • 時期:  治療を始めて2週間〜1ヶ月頃に起こりやすいです。
      • 期間:  通常は1ヶ月〜2ヶ月程度で自然に落ち着きます。
      • 原因:  薬の効果でヘアサイクルが正常化する合図です。  新しく生えてきた元気な髪が、古い髪を押し出すために起こります。

    一時的に抜け毛が増えるため、驚いてしまうかもしれません。 しかし、これは治療が順調に進んでいるサインでもあります。 不安に感じても、自己判断で使用をやめないことがとても重要です。

    その他、頭皮のかゆみやかぶれといった副作用が起こることもあります。 症状が気になる場合は、医師に相談しましょう。

    治療効果を実感するまでの期間と継続に必要な費用

    AGA治療は、今日明日ですぐに結果が出るものではありません。 髪の毛には「ヘアサイクル」という、生まれ変わりの周期があるからです。

    治療を始めてから効果を実感できるまでには、時間がかかります。 一般的には、最低でも3ヶ月から6ヶ月は必要と考えてください。 焦らずに、根気強く治療を続けることが、改善への一番の近道です。

    また、AGA治療は健康保険が使えない「自由診療」となります。 そのため、費用はすべて自己負担になることを知っておきましょう。

    費用の内訳1ヶ月あたりの目安
    診察料0円〜3,000円程度
    内服薬(守りの治療)5,000円〜10,000円程度
    外用薬(攻めの治療)10,000円〜15,000円程度

    費用を少しでも抑えたい場合は、ジェネリック医薬品を選ぶ方法もあります。 ジェネリック医薬品は、先発品と同じ有効成分で作られています。 効果は同等でありながら、より安価に治療を続けることが可能です。

    治療を続ける不安を解消する医師との付き合い方

    AGA治療は長い道のりになるため、様々な不安が出てくるのは当然のことです。 「本当に効果は出るのかな…」 「副作用が出たらどうしよう…」 「いつまで続ければいいんだろう…」

    このような不安を、どうか一人で抱え込まないでください。 安心して治療を続けるために、医師を頼ることが何よりも大切です。 私たちは、患者さんと一緒にゴールを目指す、一番のパートナーです。

    定期的な診察の際には、あなたの今の気持ちを正直に伝えてみてください。

    • 最近の髪や体の状態について
      • □ 抜け毛や髪の量に変化はありますか?
      • □ 副作用かもしれない、と感じる症状はありませんか?
      • □ 薬の飲み忘れや、塗りにくいと感じることはありませんか?
    • 今後の治療について
      • □ 治療の目標について、改めて確認したいことはありますか?
      • □ 費用面で負担に感じていることはありませんか?
      • □ その他、生活の中で気になることや質問はありますか?

    どんな些細なことでも構いません。 医師と信頼関係を築き、二人三脚で治療を進めていきましょう。

    AGAと前向きに付き合っていくための3つの視点

    AGA治療は、根気強く続けていくことがとても大切です。 しかし、終わりが見えない不安を感じることもあるかもしれません。

    治療の主役はお薬ですが、それだけに頼る必要はありません。 少し視点を変えることで、心にゆとりを持ってAGAと向き合えます。

    ここでは、治療を前向きに進めるための3つの視点をご紹介します。 治療の効果を高める土台作りと、心のケアについて考えていきましょう。

    治療効果を高める食生活・睡眠・運動習慣

    AGA治療薬の効果を最大限に引き出すには、土台となる体が健康であることが重要です。 髪の毛は、あなたの健康状態を映す鏡のようなものなのです。

    元気な髪が育ちやすい体内環境を整えるために、毎日の生活習慣を見直してみましょう。

    1. 髪の材料を届ける「食生活」

    髪の毛の約9割は、「ケラチン」というタンパク質でできています。 まずは、髪の材料となる栄養素をバランス良く摂ることが基本です。

    栄養素髪における役割多く含まれる食品の例
    タンパク質髪の毛の主成分であり、すべての基本となる材料です。肉、魚、卵、大豆製品
    亜鉛材料であるタンパク質から、髪の毛を作り出すのを助けます。牡蠣、レバー、牛肉
    ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促し、健康な頭皮環境を整えます。豚肉、マグロ、レバー
    ビタミンE全身の血行を良くし、髪に栄養を届ける道を整えます。ナッツ類、アボカド

    2. 髪を育てる「質の良い睡眠」

    髪の成長を促す「成長ホルモン」は、寝ている間にたくさん分泌されます。 特に、眠り始めてからの最初の深い眠りが、髪の成長にとって非常に重要です。

    • 質の良い睡眠のための工夫
      • □ 毎日なるべく同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。
      • □ 寝る前はスマホやパソコンの強い光を避ける。
      • □ ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってリラックスする。
      • □ 寝る前の食事やカフェイン、アルコールは控える。

    3. 栄養を運ぶ「適度な運動」

    ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の血行を良くする効果が期待できます。 頭皮への血流が改善すれば、髪の成長に必要な栄養が届きやすくなります。

    また、運動はストレス解消にもつながり、心と体の健康を保つのに役立ちます。 まずは週に2〜3回、少し汗ばむくらいの運動から始めてみましょう。

    薄毛が気にならない髪型やスタイリングの工夫

    AGA治療の効果が実感できるまでには、最低でも3ヶ月から半年はかかります。 その間、人の視線が気になってしまうこともあるかもしれません。

    そんな時は、髪型やスタイリングを少し工夫してみましょう。 見た目の印象が変わるだけで、気持ちが前向きになり、治療を続ける力になります。

    • 「隠す」よりも「活かす」髪型を
      • 薄い部分を長い髪で隠そうとすると、かえって不自然に見えがちです。
      • 思い切って短くする方が、清潔感が出て薄毛が目立ちにくくなります。
    • おすすめのヘアスタイル
      • ソフトモヒカン  トップに高さを出し、視線を上に集める効果が期待できます。
      • ショートレイヤー  髪全体に動きが出て、自然なボリューム感を出しやすくなります。
      • ツーブロック  サイドを短く刈り上げることで、トップの髪が多く見えます。

    髪型に悩んだら、美容師さんに相談してみるのも良い方法です。 あなたの髪質や骨格に合った、最適なスタイルを提案してくれるでしょう。

    男性がパントガールを使うメリット

    パントガールは、女性の薄毛治療で使われることが多い栄養補助剤です。 しかし、その成分は男性の髪の健康をサポートするのにも役立ちます。

    AGA治療薬と併用することで、相乗効果が期待できる場合があります。

    • AGA治療薬とパントガールの役割の違い
      • AGA治療薬(守りの治療)  フィナステリドなどが、抜け毛の原因(DHT)を直接ブロックします。  薄毛の進行にブレーキをかける役割です。
      • パントガール(育むサポート)  髪の主成分やビタミンなど、髪の成長に必要な栄養素を補給します。  健康な髪が育つための土台を整える役割です。

    AGA治療薬で抜け毛を抑えながら、パントガールで髪に栄養を与える。 この組み合わせで、より健康的でしっかりとした髪を育むサポートが期待できます。

    ただし、パントガールだけでAGAの進行を止めることは難しいです。 あくまで治療の補助的な選択肢として、興味があれば医師に相談してみてください。

    まとめ

    今回は、AGAが完治しない理由と、治療との上手な付き合い方について解説しました。

    AGAは遺伝や体質が原因のため、残念ながら現在の医療で「完治」させることは難しいのが現状です。 しかし、悲観する必要はまったくありません。大切なのは、ゴールを「完治」ではなく、薄毛の進行を抑える「症状のコントロール」に置くことです。

    飲み薬や塗り薬による治療を根気強く続ければ、薄毛の進行を食い止め、現状を維持・改善することは十分に可能です。

    一人で抱え込まず、まずは専門のクリニックで医師に相談することが、悩みを解消する大切な第一歩です。あなたに合った治療法を一緒に見つけ、前向きな気持ちでAGAと付き合っていきましょう。

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