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「フケが目立って、好きな色の服を着られない」「顔の赤みやベタつきで、人の視線が気になる」。その不快な症状、もしかしたら単なる肌荒れではなく、「脂漏性皮膚炎」という皮膚の病気が原因かもしれません。
脂漏性皮膚炎は、皮脂と皮膚の常在菌のバランスが崩れることで起こる湿疹です。そして、最も怖いのは、この症状を放置してしまうこと。頭皮の炎症が慢性化すると、健康な髪が育ちにくい環境となり、結果として薄毛や抜け毛につながる危険性があるのです。
この記事では、脂漏性皮膚炎の正しい治療法から、再発を防ぐための食生活やシャンプーの選び方まで、専門的な視点で徹底解説します。手遅れになる前に、正しい知識で今日から対策を始めましょう。
「頭のフケが目立って、好きな色の服を着られない」 「顔の赤みやベタつきで、人の視線が気になる」
このようなお悩みは、もしかしたら「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」が原因かもしれません。
これは、皮脂の分泌が多い場所にできやすい湿疹の一種です。 ここでは、脂漏性皮膚炎の具体的な症状や薄毛との関係、そして原因について、医師の視点から詳しく解説します。
脂漏性皮膚炎の症状は、皮脂を分泌する「皮脂腺」が多い「脂漏部位(しろうぶい)」に現れるのが特徴です。
具体的には、以下のような場所に症状が出やすくなります。
主な症状は、皮膚の赤みとフケです。 フケには、黄色っぽくベタついたタイプと、乾燥してうろこ状にパラパラ落ちるタイプがあります。
多くの場合、軽いかゆみを伴いますが、通常、痛みを感じることはありません。 赤ちゃんの場合は、頭に黄色いかさぶたの塊(乳痂:にゅうか)ができることも特徴的な症状です。
「このまま髪が抜けて、薄毛になってしまうのでは?」と心配される方も少なくありません。
結論から言うと、脂漏性皮膚炎が直接的な脱毛症の原因になるわけではありません。 しかし、頭皮の炎症を放置すると、健康な髪が育ちにくい環境になり、結果として薄毛や抜け毛につながる可能性があります。
そのメカニズムは、主に3つ考えられます。
健康な髪を保つためにも、頭皮の症状を放置せず、早めに治療を始めることが大切です。
脂漏性皮膚炎のはっきりとした原因は、まだ完全には解明されていません。 しかし、主に2つの要因が深く関わっていると考えられています。
一つは「皮脂」の過剰な分泌です。 そしてもう一つは、皮膚の常在菌(誰の肌にもいるカビの一種)である「マラセチア菌」の異常な増殖です。
マラセチア菌は、普段は肌に害を与えません。 しかし、この菌は皮脂をエサにして増える性質があります。
ストレスやホルモンバランスの乱れ、ビタミン不足などで皮脂の分泌が増えたり、肌のバリア機能が低下したりすると、マラセチア菌が異常に増殖します。
増えすぎたマラセチア菌は、皮脂を分解して「遊離脂肪酸」という刺激物質を作り出します。 この遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、赤みやかゆみといった炎症を引き起こすのです。
脂漏性皮膚炎は、他の皮膚の病気と症状が似ているため、自己判断は禁物です。 特に間違いやすい病気との違いを、以下の表にまとめました。
病名 | 症状の特徴 |
---|---|
脂漏性皮膚炎 | ・黄色っぽくベタついたフケや、乾燥したフケが出る ・皮脂の多い場所(頭、顔、胸など)に症状が限られる ・かゆみは軽度なことが多い |
アトピー性皮膚炎 | ・カサカサに乾燥した、細かいフケが特徴 ・肘や膝の裏など、関節部にも湿疹が広がりやすい ・我慢できないほどの強いかゆみを伴うことが多い |
尋常性乾癬(かんせん) | ・銀白色の厚いフケ(鱗屑:りんせつ)が付着する ・湿疹と正常な皮膚の境界がはっきりしている ・肘や膝、お尻など、刺激を受けやすい場所にできやすい |
これらの特徴は、あくまで一般的な目安にすぎません。 正確な診断と適切な治療のためには、必ず皮膚科を受診するようにしてください。
つらいフケやかゆみ、赤みといった症状は、皮膚科で適切な治療を受けることで改善が期待できます。
市販のシャンプーを試しても良くならなかった方も、決してあきらめる必要はありません。
脂漏性皮膚炎の治療では、2つのアプローチが中心です。
ここでは、皮膚科で行われる代表的な3つの治療法について、医師の視点から詳しく解説します。
脂漏性皮膚炎の治療では、主に2種類の塗り薬が活躍します。 それは「ステロイド外用薬」と「抗真菌薬」です。
それぞれ異なる役割を持っており、症状に応じて使い分けたり、組み合わせたりします。
まずステロイドでつらい症状を抑えつつ、同時に抗真菌薬で原因菌を減らす、という併用療法が一般的です。
また、長期間の治療が必要な場合には、ステロイドとは異なる仕組みで炎症を抑える塗り薬(カルシニューリン阻害薬)が使われることもあります。
塗り薬だけでは改善が難しいほど炎症やかゆみが強い場合には、飲み薬(内服薬)を併用します。
体の内側から作用することで、より効果的に症状をコントロールするのが目的です。 症状に応じて、以下のようなお薬が使い分けられます。
これらのお薬は、医師が患者さん一人ひとりの状態を診て、必要と判断した場合に処方されます。
頭皮の脂漏性皮膚炎の治療では、薬用シャンプーが非常に重要な役割を果たします。
皮膚科で処方されるシャンプーには、原因菌であるマラセチア菌の増殖を抑える「抗真菌成分(ケトコナゾールなど)」が含まれています。
このシャンプーを正しく使うことで、症状の改善だけでなく、再発予防にもつながります。
市販のフケ用シャンプーにも有効成分が含まれるものがありますが、まずは皮膚科で診断を受け、ご自身の症状に合ったものを処方してもらうことが大切です。
脂漏性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい病気です。 そのため、治療期間は症状の重さによって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月かかることが多いです。
症状が良くなったからといって、自己判断で治療をやめてしまうと再発しやすくなります。 医師の指示に従い、根気よく治療を続けることが、良い状態を保つための鍵です。
症状が落ち着いた後も、薬用シャンプーを継続するなど、予防的なケアが重要になります。
なお、皮膚科で行われる脂漏性皮膚炎の診察や、処方されるお薬(塗り薬、飲み薬、薬用シャンプーなど)は、原則として健康保険が適用されます。
治療費について心配な点があれば、遠慮なく診察時に医師やスタッフにご相談ください。
お薬を使った治療で、つらいフケやかゆみなどの症状は少しずつ落ち着いていきます。 しかし、脂漏性皮膚炎は生活習慣の乱れが引き金となり、何度もぶり返しやすいという特徴を持つ病気です。
治療は、医師が処方するお薬と、患者さんご自身のセルフケアの両輪で行うことが非常に重要になります。 ここでは、症状の再発を防ぎ、すこやかな肌を保つために今日からできる3つの習慣をご紹介します。
私たちが毎日口にする食べ物は、肌の健康状態、特に皮脂の量に大きく影響します。 皮脂の分泌バランスを整える食生活を心がけることが、再発予防の第一歩です。
まずは、皮脂の分泌を増やしてしまう可能性のある食べ物を知り、とりすぎないようにしましょう。
一方で、肌の健康をサポートし、皮脂のバランスを整える働きを持つ栄養素を積極的にとることも大切です。 特に、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせないビタミンB群は意識してとりましょう。
▼積極的にとりたい栄養素と食品例
特定の食品に偏らず、様々な食材をバランスよく食べることが、健康な肌への近道です。
頭皮に症状がある場合、毎日のシャンプーが治療そのものと言えるほど重要なケアになります。 原因となるマラセチア菌の増殖を抑え、頭皮を清潔に保つことが症状の改善や再発予防に直結します。
【シャンプーの選び方】 原因菌の増殖を抑える「抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩など)」が配合された薬用シャンプーが有効です。 ただし、肌が敏感な状態になっているため、洗浄力が強すぎない低刺激性のものを選びましょう。
【正しい髪の洗い方:4つのステップ】 ゴシゴシ洗うのは逆効果です。以下の手順でやさしく丁寧に洗いましょう。
「寝不足が続くと肌が荒れる」という経験はありませんか? 睡眠不足や過度なストレスは、ホルモンバランスや自律神経を乱す大きな要因です。
その結果、皮脂の分泌が過剰になったり、肌の免疫力が低下したりします。 これが、脂漏性皮膚炎の症状を悪化させ、再発のきっかけになるのです。
【質の良い睡眠をとるための工夫】
【ストレスを上手に解消するための工夫】
心と体を十分に休ませることも、脂漏性皮膚炎の大切な治療の一部です。 無理のない範囲で、日々の生活リズムを見直していきましょう。
今回は、フケやかゆみ、そして薄毛の原因にもなりうる脂漏性皮膚炎について、その症状から治療法、ご自身でできるセルフケアまで詳しくご紹介しました。
脂漏性皮膚炎は、皮脂と常在菌のバランスが崩れることで起こる、誰にでも発症しうる身近な皮膚の病気です。放置すると抜け毛につながる可能性もありますが、皮膚科での適切な治療と、日々のセルフケアを両立させることで改善が期待できます。
症状を繰り返しやすい病気だからこそ、自己判断で悩まず、気になるフケやかゆみがあれば、まずは気軽に皮膚科へ相談してみてくださいね。
目次 頭皮がかゆくなる原因 頭皮がかゆい場合に考えられる病気 頭皮がかゆい場合の対策方法 頭皮のかゆみのご相談…
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