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育毛剤はどんな成分を選ぶと良い?特徴や作用について解説

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鏡を見るたびに気になる抜け毛や薄毛。「何とかしたい」と育毛剤を手に取るものの、無数にある製品と難解な成分名を前に、どれを選べば良いか途方に暮れていませんか?実は、複雑に見える育毛剤の成分は、その働きによって大きく5つの系統に分類できるのです。

この記事では、「発毛」効果が国に認められた医薬品成分から、頭皮の血行を促す植物由来成分、そして近年注目される新しい成分まで、それぞれの特徴を徹底解説。あなたの薄毛のタイプや頭皮の状態に最適な一本を見つけるための、具体的な選び方をご紹介します。もう遠回りはやめて、自分に合った科学的なケアを始めましょう。

目次

    育毛剤の主な有効成分5系統とその作用

    育毛剤にはたくさんの成分名が書いてあり、迷うのも無理はありません。 しかし、成分の働きを知ることで、悩みに合った製品が見つけやすくなります。 育毛剤の成分は、その働きによって大きく5つのグループに分けられます。 それぞれの特徴を学び、あなたに最適なケアを始めましょう。

    発毛を促進する医薬品成分:ミノキシジル

    「発毛」の効果が国に認められているのは、医薬品に分類される成分です。 これらは医師の診察のもとで使われ、高い効果が期待できるのが特徴です。

    • ミノキシジル  もともとは血圧を下げる薬として開発された成分です。  頭皮の血管を広げて血の流れを良くする働きがあります。  血流が良くなると、髪を作る工場である「毛母細胞」に、  たくさんの栄養や酸素を届けられるようになり、発毛を促します。

    毛母細胞を活性化させる医薬部外品成分:アデノシン、t-フラバノン

    医薬部外品は、主に抜け毛の予防や育毛を目的とした製品です。 医薬品より作用は穏やかですが、毎日のケアに取り入れやすいのが利点です。

    • アデノシン  私たちの体の中にもともと存在する成分です。  髪の成長に必要な「発毛促進因子(FGF-7)」を増やす働きがあります。  髪を作る工場である毛母細胞に直接作用し、  細胞が増えるのを助けることで、髪の成長を力強く支えます。
    • t-フラバノン  毛母細胞に働きかけて細胞が増えるのを助け、  髪の毛が太く、長く成長するのをサポートする作用があります。  髪が伸びる期間である「成長期」を長く保つ効果が期待できます。

    頭皮の血行を促す植物由来成分:センブリエキス、ニンジンエキス

    髪の毛は、血液から栄養を受け取って成長しています。 そのため、頭皮の血行を良くすることは、健康な髪を育てる土台作りです。 多くの育毛剤には、植物由来の血行促進成分が配合されています。

    • センブリエキス  リンドウ科のセンブリという植物から抽出されるエキスです。  頭皮の血流を良くする作用や、毛根の細胞分裂を、  活発にする作用が知られています。
    • ニンジンエキス  オタネニンジン(朝鮮人参)の根から抽出されます。  血行を良くする働きがあり、頭皮のすみずみまで、  栄養を行き渡らせるのを助け、健康な髪の成長を支えます。

    頭皮環境を健やかに保つ成分:グリチルリチン酸2K、ピロクトンオラミン

    フケやかゆみ、皮脂のベタつきといった頭皮トラブルは、抜け毛の原因になります。 髪が育つ土壌である頭皮を、清潔で健康な状態に保つことも大切なケアです。

    • グリチルリチン酸2K  マメ科の植物である甘草(カンゾウ)に含まれる成分です。  炎症を抑える作用に優れており、頭皮のかゆみや赤み、  フケといったトラブルを防ぐ働きがあります。
    • ピロクトンオラミン  皮脂をエサにして増える菌の活動を抑える抗菌作用があります。  フケやかゆみの原因となる菌の異常な繁殖を防ぎ、  頭皮を清潔な状態に保ちます。

    近年注目される新しい成分:キャピキシル、リデンシル、ピディオキシジル

    育毛に関する研究は日々進んでおり、新しい成分も次々と登場しています。 これらは、従来の成分とは違う仕組みで髪の悩みに働きかけると期待されています。

    • キャピキシル、リデンシル  複数の成分を組み合わせた複合的な原料です。  髪の毛の源となる「幹細胞」に働きかけることで、  ヘアサイクルを正常に導くサポートをするとされています。
    • ピディオキシジル  発毛成分のミノキシジルと似た構造を持つ成分です。  頭皮の血行を促す作用が期待されています。

    さらに、再生医療の分野では新しいアプローチの研究が進んでいます。 細胞から分泌される「細胞外小胞(EVs)」という物質を用いた毛髪再生の研究です。 細胞外小胞は、細胞同士が情報をやり取りする際に使われる、いわば「手紙」のようなものです。 この手紙を使って髪の成長を促す指令を出すことで、脱毛症の治療を目指します。 この方法は、従来の薬物療法などと比べて、下記のような利点があると期待されています。

    • 高い生物学的安全性
    • 持続的な有効性
    • 免疫拒絶反応のリスクが低い

    細胞外小胞を用いた治療法は、将来的により安全で効果的な選択肢となる可能性を秘めています。

    【悩み別】自分に合った育毛剤成分の選び方3つのポイント

    育毛剤には多くの種類があり、どの成分が自分に合うか迷うかもしれません。 大切なのは、まずご自身の髪や頭皮の状態を正しく理解することです。 お悩みや状態に合った成分を選ぶことで、効果的なケアにつながります。 ここでは、育毛剤を選ぶための3つのポイントを分かりやすく解説します。

    薄毛のタイプで選ぶ:AGA、びまん性脱毛症、産後脱毛症など

    薄毛と一言でいっても、原因や症状の現れ方は人それぞれです。 ご自身の薄毛のタイプに合った有効成分を選ぶことが、改善への第一歩です。 タイプ別に適した成分を見ていきましょう。

    • AGA(男性型脱毛症)  男性ホルモンの影響で、生え際や頭のてっぺんの髪が薄くなります。  このタイプには、脱毛の原因となる男性ホルモンの働きを抑える、  「フィナステリド」などの医薬品成分が有効とされています。
    • びまん性脱毛症  頭の一部だけでなく、全体の髪が均等に薄くなるのが特徴です。  女性に多く見られ、ホルモンバランスの乱れや栄養不足が原因です。  頭皮の血行を促す「センブリエキス」や、髪を作る工場である、  毛母細胞の働きを助ける「アデノシン」などがおすすめです。
    • 産後脱毛症  出産後に女性ホルモンが急激に変わることで起こる一時的な脱毛です。  頭皮環境を健やかに保つ保湿成分や、植物由来の成分が配合された、  刺激の少ない製品を選ぶと良いでしょう。

    性別で選ぶ:男性ホルモンに働く成分と女性のホルモンバランスを整える成分

    男性と女性では、薄毛の主な原因が違うため、適した成分も異なります。 性別に合わせた成分を選ぶことで、より効果的なケアが期待できます。

    • 男性におすすめの成分  男性の薄毛は、男性ホルモンが大きく関わっていることがほとんどです。  そのため、その働きに直接アプローチする成分が中心となります。
      • フィナステリド:  脱毛の原因となる男性ホルモンが作られるのを防ぎます。(医薬品)
      • ミノキシジル:  頭皮の血流を良くして、髪の成長に必要な栄養を届けます。(医薬品)
    • 女性におすすめの成分  女性の薄毛は、ホルモンバランスの乱れや血行不良、ストレスなど、  複数の原因が複雑に関わっています。
      • イソフラボン:  女性ホルモンに似た働きで、ホルモンのバランスを整えます。
      • パントテニルエチルエーテル:  髪を作る毛母細胞を元気にし、健康な髪の成長を促します。
      • 血行促進成分(センブリエキスなど):  頭皮に栄養を届けやすくします。

    頭皮の状態で選ぶ:乾燥肌、脂性肌、敏感肌向けの低刺激成分

    育毛剤は毎日、直接頭皮につけるものです。 髪が育つ土壌である頭皮のタイプに合ったものを選ぶことが大切です。 肌に合わないものを使うと、かえって頭皮トラブルを招くこともあります。

    頭皮タイプ特徴おすすめの成分・ポイント
    乾燥肌・頭皮がつっぱる感じがする
    ・フケがカサカサしている
    ・保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸など)
    ・アルコールフリーなど、刺激の少ない製品
    脂性肌・頭皮や髪がベタつきやすい
    ・フケが湿っている
    ・皮脂の分泌を整える成分(ビタミンC誘導体など)
    ・抗菌成分(ピロクトンオラミンなど)
    敏感肌・かゆみや赤みが出やすい
    ・少しの刺激でヒリヒリする
    ・無添加(香料、着色料など不使用)
    ・炎症を抑える成分(グリチルリチン酸2K)

    どんなに良い成分が書かれていても、その製品が信頼できるかが重要です。 ある研究では、市販のサプリメントの成分を調べたところ、 表示されている有効成分が、ごくわずかしか含まれていない例も報告されました。 育毛剤を選ぶ際も、品質管理がしっかりしているメーカーの製品を選びましょう。

    育毛剤の成分に関する4つの注意点と副作用

    育毛剤は、薄毛や抜け毛の悩みに応えてくれる心強い味方です。 しかし、その効果を期待するあまり、使い方や注意点を見過ごしてしまうと、 かえって頭皮のトラブルを招くことがあります。

    安心してケアを続けるためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。 ここでは、育毛剤を使う上で特に注意したい4つのポイントを解説します。 正しい知識を持つことで、ご自身の体や状況に合った製品を選び、 より安全に育毛ケアを行いましょう。

    かゆみ、かぶれなど起こりうる副作用とその対処法

    育毛剤を使い始めると、まれに副作用が起こることがあります。

    また、育毛剤の成分が肌に合わないと、かゆみやかぶれ、 赤みといったアレルギー反応が起きることもあります。 初めて使う製品は、まず腕の内側などの目立たない場所で試す、 「パッチテスト」を行い、肌に異常が出ないか確認すると安心です。

    妊娠中や授乳中に使用を避けるべき成分

    妊娠中や授乳中は、お母さんの体がとてもデリケートな時期です。 体に取り込まれた成分が、お腹の赤ちゃんや母乳を通じて、 お子さんに影響を与える可能性があります。 そのため、育毛剤の使用には特に慎重になる必要があります。

    特に、以下の成分が含まれる製品は、使用を絶対に避けてください。

    • ミノキシジル  血管を広げる作用があり、胎児への影響がはっきりと分かっていません。
    • フィナステリド、デュタステリド  男性ホルモンに作用する成分です。  特に男の子の赤ちゃんの発育に影響を及ぼすリスクがあるため、  女性は有効成分に触れることさえ避けるべきとされています。

    女性向けの製品であっても、ホルモンバランスに影響する成分が入っていることもあります。 妊娠中や授乳中、またはその可能性がある方は、自己判断で育毛剤を使わず、 必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

    飲み薬や他の外用薬との併用で注意すべき組み合わせ

    病気の治療で飲み薬を服用していたり、皮膚の塗り薬を使っていたりする場合、 育毛剤との併用には注意が必要です。 成分同士が影響し合い、薬の効果を変えてしまったり、 予期せぬ副作用を招いたりすることがあるからです。

    【特に注意が必要なケース】

    • 血圧の薬を飲んでいる方  ミノキシジルなど血行を良くする育毛剤を併用すると、  血圧が下がりすぎる可能性があります。
    • 皮膚の塗り薬を使っている方  同じ場所に複数の薬を塗ると、成分の吸収が変化したり、  皮膚への刺激が強くなったりすることがあります。

    現在使っている薬がある方は、新しい育毛剤を使い始める前に、 お薬手帳を持参して、必ず医師や薬剤師に併用しても問題ないか確認しましょう。

    市販品の成分表示は信頼できる?購入前に確認すべきこと

    市販の育毛剤を選ぶ際、パッケージの魅力的な言葉を信じたくなります。 しかし、表示されている成分がごくわずかしか含まれていない可能性も考えられます。 海外のある研究では、植物由来成分をうたったサプリメントを分析したところ、 表示されていた量の1%未満しか有効成分が含まれていなかった、という結果も出ています。 このような製品では、期待する効果は得られません。

    信頼できる製品を見分けるために、購入前にご自身の目でしっかり確認しましょう。

    【購入前のチェックリスト】

    • □ 製品の分類は何か  効果が認められた「医薬品」や「医薬部外品」か確認しましょう。
    • □ 有効成分の名前と量が書かれているか  どの成分が、どれくらい入っているか明記されている製品を選びましょう。
    • □ 信頼できるメーカーか  長年の実績があるか、問い合わせ窓口がはっきりしているかなども大切です。

    成分表示を見てもよく分からない場合や、どの製品が良いか迷う場合は、 安易に購入せず、医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。

    まとめ

    今回は、育毛剤に含まれる様々な有効成分について、その特徴や選び方をご紹介しました。 たくさんの成分があって難しく感じるかもしれませんが、最も大切なのは、まずご自身の薄毛のタイプや頭皮の状態を正しく理解することです。

    この記事を参考に、ご自身の悩みに合った成分はどれかを確認し、信頼できるメーカーの製品を選んでみてください。 もし、どの育毛剤が良いか迷う場合や、副作用が心配な方は、自己判断せずに皮膚科の医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。

    正しい知識を持って、ご自身に合ったケアを続けることが、健やかな髪を育むための大切な第一歩になりますよ。

    参考文献

    出典元・参考URL
    • Wu X, Tang S. “Advances in the extracellular vesicles treatment of alopecia.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2543517.
      Dissemond J, Havers T, Held S, Geisler S, Kostov T, Diel P, Türschmann S, Parr MK, Isenmann E. “How reliable is the labeling of a commercial phytosteroid product? A 12-week randomized double-blind training study.” Journal of the International Society of Sports Nutrition 22, no. 1 (2025): 2540408.
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