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国内未承認薬のミノキシジルは安全?ミノキシジル外用薬との併用のメリットを解説

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薄毛治療の切り札として期待される「ミノキシジル」。特に飲むタイプ(内服薬)は効果が高いと聞き、関心を持っている方も多いかもしれません。しかし、その薬が日本では薄毛治療薬として国に認められておらず、専門家団体である日本皮膚科学会が「行うべきではない」としている事実をご存知でしょうか?

効果を期待する一方で、もともと血圧の薬であるため、動悸やむくみ、めまいといった副作用や、全身の毛が濃くなる多毛症のリスクも指摘されています。この記事では、国内未承認である理由から、安全性が確立された塗り薬との違い、そして後悔しないために知っておくべき治療のポイントまで、専門的な視点から徹底解説します。

目次

    国内未承認薬ミノキシジルの安全性と5つの主な副作用

    薄毛の治療を考えるとき、「ミノキシジル」という成分を耳にするかもしれません。

    特に飲むタイプの薬は、効果を期待する声が大きい一方で、少し心配な情報もあります。 それは「日本では、薄毛治療の薬として国に認められていない」という事実です。

    国のお墨付きがないため、安全性に関する公式なデータは限られています。 だからこそ治療を始める前に、どんな副作用が起こる可能性があるのかを知ることが大切です。 ここでは、ミノキシジルの飲み薬で起こりうる、5つの主な副作用を詳しく解説します。

    日本皮膚科学会が推奨しない理由と海外での位置づけ

    日本の皮膚科の専門家が集まる「日本皮膚科学会」という団体があります。 この団体が作る薄毛治療のガイドラインでは、ミノキシジルの飲み薬を「行うべきではない」としています。

    これは、髪を増やす効果に比べて、副作用の心配が大きいと考えられているためです。 また、その安全性が科学的に十分に確かめられていないことも大きな理由です。 薄毛治療には、他にも様々な方法が研究されています。

    例えば、ミノキシジルの塗り薬と、低出力レーザー治療を組み合わせる研究があります。 しかし、この二つを併用しても、塗り薬だけの場合と比べて効果が大きくは変わらない、という研究報告も出ています。 このように、治療法は効果と安全性の両方から、慎重に選ばれるのです。

    もともとミノキシジルは、海外で血圧を下げる薬として開発されました。 その副作用として「毛が濃くなる」ことが見つかった、という少し変わった歴史があります。 そのため、日本では薄毛治療薬としてではなく、海外での実績を元に一部のクリニックで処方されているのが現状です。

    心臓への影響(動悸・息切れ・胸痛)とむくみ(浮腫)

    ミノキシジルには、血管を広げて血圧を下げる働きがあります。 この働きが、心臓や血管に影響をおよぼす可能性があります。 特に、次のような症状には注意が必要です。

    • 動悸・息切れ・胸痛  血管が広がると、心臓は全身に血液を送るため、いつもより頑張って働く必要があります。  その結果、心拍数が増えて、ドキドキする動悸や息切れを感じることがあります。  もともと心臓に持病がある方は、心臓への負担がさらに増えることも考えられます。  ごくまれですが、心臓の周りに水がたまる心タンポナーデや、心不全といった重い副作用も報告されています。
    • むくみ(浮腫)  血管の働きが変わることで、体の中の水分バランスが崩れることがあります。  すると、血管から水分が漏れやすくなり、顔や手足がパンパンにむくんでしまいます。  これは「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれる症状です。

    国内の調査では、ミノキシジル塗り薬の使用後に動悸が6件、胸痛が1件、むくみが3件報告されています。 これらの症状は、心臓が無理をしているサインかもしれません。 服用中に何か異変を感じたら、すぐに医師へ相談してください。

    全身の毛が濃くなる「多毛症」のリスクと対処法

    ミノキシジルの飲み薬は、血液の流れに乗って全身に成分が行き渡ります。 そのため、頭の髪の毛だけでなく、思わぬ場所の毛まで濃くなることがあります。 これを「多毛症(たもうしょう)」と呼びます。

    • 症状が現れやすい場所  腕、足、背中、顔(特に眉毛やもみあげ、女性では口ひげなど)
    • 対処法  多毛症は、薬の効果が全身におよんでいる証拠とも言えます。  しかし、特に女性にとっては、美容上の大きな悩みになることも少なくありません。  気になる場合は、自分で判断して薬をやめず、必ず処方した医師に相談しましょう。  医師は、薬の量を調整したり、他の治療法への変更を考えたりします。

    治療初期に起こる「初期脱毛」の期間とメカニズム

    「髪を増やしたくて薬を飲み始めたのに、逆に抜け毛が増えた」 これは「初期脱毛」という現象で、治療を始めてすぐの頃によく見られます。 多くの方が驚き、不安になりますが、これは薬が効き始めたサインの一つです。

    初期脱毛が起こる仕組みは、髪の生え変わりのサイクルに関係しています。 ミノキシジルの働きで新しい健康な髪が作られ始めると、それらが古い髪を押し出します。 その結果、お休みしていた髪の毛が一時的にたくさん抜けるのです。

    この期間は、治療を始めてから数週間~2ヶ月ほど続くのが一般的です。 治療している人の7割以上に見られるとも言われ、多くの人が経験する現象です。 この時期を乗り越えると、より強く太い髪が生えてくることが期待できます。

    めまいや頭痛などの低血圧症状と肝機能への影響

    ミノキシジルは、もともと血圧を下げるための薬です。 そのため、血管が広がる作用によって、血圧が下がりすぎることに関連した症状が出ることがあります。

    • 主な低血圧の症状
      • 急に立ち上がったときの立ちくらみ、ふらつき
      • めまい
      • 頭痛
      • なんとなく体がだるい感じ(倦怠感)

    国内の調査では、塗り薬の使用後に頭痛が10件、めまいが6件報告されています。 普段から血圧が低い方は、特にこれらの症状が出やすい傾向があります。

    また、飲んだ薬は主に肝臓で分解されて体の外へ排出されます。 そのため、まれに肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こす可能性もゼロではありません。 治療を始める前や治療の途中では、定期的な血圧測定や血液検査がとても重要です。 体の状態をしっかり確認しながら、安全に治療を進めていく必要があります。

    ミノキシジル内服薬と外用薬の3つの大きな違い

    薄毛の治療で使われるミノキシジルには、2つのタイプがあります。 「飲むタイプ(内服薬)」と「頭に塗るタイプ(外用薬)」です。

    「どっちを選べばいいの?」と迷うかもしれません。 この2つは、効果の届き方から副作用の心配まで、大きな違いがあります。 ここでは、内服薬と外用薬の3つの大切な違いを、詳しく見ていきましょう。

    効果の範囲と作用機序(全身作用と局所作用)

    飲む薬と塗る薬では、成分が体のどこに効くかが一番のちがいです。 これを「作用範囲」と呼び、効果の出方や副作用に関わってきます。

    • 内服薬(飲むタイプ)  口から飲むと、薬の成分は胃や腸で吸収され、血液の流れに乗ります。  そして、血液が全身をめぐることで、頭だけでなく体中の毛に影響します。  これを「全身作用」といい、効果が広範囲に及ぶのが特徴です。
    • 外用薬(塗るタイプ)  薄毛が気になる頭皮に、直接液体を塗って使います。  薬の成分は塗った場所とその周りの皮膚からしみ込んで効きます。  これを「局所作用」といい、体全体への影響は少ないです。

    このように、薬のタイプによって作用の仕方が全く異なります。 どちらが適しているかは、ご自身の状態に合わせて医師と相談することが大切です。

    種類作用の仕方作用する範囲特徴
    内服薬血液を通して全身に届く全身全身の毛に影響する可能性がある
    外用薬塗った部分に直接効く頭皮(塗った場所)気になる部分に集中して作用する

    副作用の種類と発生率の比較

    効果の範囲がちがうように、副作用の種類や出やすさも変わってきます。 一般的に、作用する範囲が広いほど、副作用も全身に出る可能性があります。

    • 内服薬の主な副作用  全身に作用するため、心臓や血管への影響が心配されます。  具体的には、動悸や息切れ、めまい、手足のむくみなどです。  また、頭以外の腕や足などの毛が濃くなる「多毛症」も起こりやすいです。
    • 外用薬の主な副作用  作用が頭皮に限られるため、副作用も塗った場所の皮膚トラブルが中心です。  国内の調査では、使用した3,072人のうち271人(約8.8%)に副作用が見られました。  その多くは、かゆみ、赤み、かぶれ、フケといった皮膚の症状でした。

    作用が広い内服薬は効果を期待しやすいですが、副作用のリスクも高まります。 どちらの薬を使う場合でも、体の変化には十分に注意してください。

    内服薬と外用薬の併用による効果とリスク管理

    「飲む薬と塗る薬を一緒に使えば、もっと効果が出るのでは?」 そう考える方もいるかもしれません。実際に、両方使うことで効果が高まることもあります。

    しかし、効果が強まる一方、副作用のリスクも増えます。 飲む薬による全身の副作用と、塗る薬による頭皮のトラブル。 この2つが同時に起こる可能性も考えなくてはなりません。

    ある研究では、ミノキシジルの治療に別の治療法(低出力レーザー)を加えても、効果は大きく変わらなかった、という報告もあります。 治療は「1+1=2」のように、単純に効果が足し算されるわけではないのです。 併用治療は自分で判断せず、必ず医師の管理のもとで慎重に進めることが重要です。

    他のAGA治療薬(フィナステリド等)との併用時の注意点

    AGA(男性型脱毛症)の治療では、他の薬と組み合わせて使うこともあります。 代表的な薬に「フィナステリド」や「デュタステリド」があります。

    • ミノキシジル  髪の毛の成長をうながす「攻めの治療薬」です。
    • フィナステリドなど  抜け毛の原因をブロックする「守りの治療薬」です。

    このように、違う働きを持つ薬を組み合わせ、より高い効果を目指します。 しかし、複数の薬を使えば、それだけ体への負担も考えなければなりません。

    それぞれの薬に副作用があり、薬同士の組み合わせで肝臓に負担がかかることもあります。 そのため、併用治療は必ず医師の診断のもとで行う必要があります。 医師があなたの健康状態をしっかり把握し、最適な治療を考えることが安全への近道です。

    安全なミノキシジル治療を受けるための4つの重要ポイント

    ミノキシジルを使った治療は、薄毛に悩む多くの方にとって希望となるかもしれません。 しかし「副作用がこわい」「本当に安全なの?」と不安に思うのは当然のことです。

    特に飲むタイプのミノキシジルは、未承認薬のため、より慎重な判断が必要です。 ここでは安心して治療に臨むために、ぜひ知っておいてほしい4つの重要ポイントを、医師の視点から詳しく解説します。

    医師の診察が不可欠な理由と個人輸入の危険性

    ミノキシジル治療を安全に始める上で、医師の診察は絶対に欠かせません。 この薬はもともと血圧を下げる目的で作られ、心臓や血管に影響をおよぼす可能性があるためです。 医師はあなたの健康状態や持病を確認し、治療が安全に行えるかを慎重に判断します。

    一方で、インターネットなどで安易に個人輸入した薬を使うことには、大きな危険がひそんでいます。

    • 偽物の薬や不純物のリスク  有効な成分が入っていなかったり、体に害のある不純物が混じっていたりする恐れがあります。
    • 成分量が不正確なリスク  書かれている量と実際の量が違うことがあります。  効果が出ないだけでなく、予期せぬ強い副作用が起こる危険もあります。
    • 国の救済制度が使えない  個人輸入した薬で重大な健康被害が起きても、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な助けを利用できません。

    治療費が安く済むように見えても、健康を損なっては元も子もありません。 ご自身の体を守るためにも、必ず医療機関で医師の診察を受けてください。

    治療前に受けるべき検査(血液検査・血圧測定)

    安全な治療のためには、薬を飲み始める前に、ご自身の体の状態を正確に知ることが大切です。 そのため、クリニックでは次のような検査を行い、治療のリスクを事前に調べます。

    • 血液検査  飲んだ薬の成分は、主に肝臓で分解され、腎臓から体の外へ排出されます。  そのため、これらの臓器が元気に働いているかをまず確認します。 ミノキシジルを安全に使うには、この大切な肝臓の状態を血液検査でしっかり見ることが不可欠です。
    • 血圧測定  ミノキシジルには血管を広げ、血圧を下げる働きがあります。  もともと血圧が低い方が飲むと、血圧が下がりすぎてしまうかもしれません。  その結果、めまいや立ちくらみが起こりやすくなるため、事前の測定が重要です。

    これらの検査は、いわば安全な治療への「パスポート」のようなものです。 ご自身の体の状態をきちんと把握した上で、治療をスタートさせましょう。

    副作用が出た場合の具体的な対処法と相談窓口

    もし治療中に、動悸やむくみ、めまいなどの好ましくない症状を感じた場合。 その時は、自分で判断して我慢したり、薬を続けたりしないでください。

    【副作用かな?と思ったら】

    1. すぐに医師へ相談する  まずは治療を受けているクリニックに連絡してください。  どんな症状がいつから出ているのか、具体的に伝えましょう。  「このくらいの症状で…」とためらう必要はまったくありません。
    2. 自己判断で服用を中止しない  基本的には医師の指示を仰ぎますが、普段と違う強い症状が出た場合は、一旦服用を中止して速やかに受診しましょう。

    相談を受けた医師は、症状に応じて薬の量を調整したり、一時的にお休みしたりします。 あるいは、別の治療法を提案することもあります。 いつでも気軽に相談できるクリニックを持つことが、治療の安心につながります。

    治療にかかる費用相場と治療中止後の経過

    ミノキシジルを使ったAGA治療は、健康保険が使えない「自由診療」です。 そのため、費用はすべてご自身の負担となります。

    費用はクリニックによって異なりますが、一般的には薬代が毎月かかります。 その他に、初診料や再診料、定期的な検査費用などが必要になることもあります。 治療を始める前に、総額でどのくらいかかるのかをよく確認しておきましょう。

    また、「治療をやめたらどうなるの?」という質問もよくいただきます。 ミノキシジルの効果は、服用をやめると徐々に失われていきます。 しかし、すぐに治療前の状態に戻るわけではなく、その経過には個人差があります。

    治療のゴールや、やめどきについても、医師とよく相談して決めることが大切です。 自己判断で急にやめるのではなく、計画的に治療を進めていきましょう。

    まとめ

    今回は、国内未承認のミノキシジル内服薬を中心に、その安全性や副作用、外用薬との違いについて詳しく解説しました。

    ミノキシジル治療、特に飲むタイプのお薬は効果が期待される一方で、国内では未承認であり、心臓への影響など全身に及ぶ副作用のリスクも伴います。だからこそ、ご自身の判断で安易に個人輸入の薬を使ったり、治療を始めたりするのはとても危険です。

    薄毛のお悩みを解決するための最も安全で確実な第一歩は、信頼できる医療機関で医師に相談することです。事前の検査でご自身の体の状態をしっかり把握し、専門家と一緒に安全な治療計画を立てていきましょう。不安なことや気になることは、一人で抱え込まず、ぜひ医師に話してみてくださいね。

    参考文献

    出典元・参考URL
    • Nishii Y, Sakuma K, Hamanaka S, Iwata N, Kishi T. “Efficacy and Safety of Histamine H3 Receptor Antagonist/Inverse Agonist Including Betahistine for Schizophrenia: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Neuropsychopharmacology reports 45, no. 3 (2025): e70034.
      Alosaimi A, Algarni A, Alharbi A, Alotaibi A, Alomairi A, Alsurayhi M, Alharbi W. “Comparative efficacy of minoxidil alone versus minoxidil combined with low-level laser therapy in the treatment of androgenic alopecia: a systematic review and meta-analysis.” The Journal of dermatological treatment 36, no. 1 (2025): 2447355.
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