生活習慣と予防
スーパーなどで一年中見かけられる「ブロッコリースプラウト」は栄養価が高いといわれる緑黄色野菜の一種「ブロッコリー」の新芽です。体に良い栄養素を豊富に含んでおり、中でも「スルフォラファン」という栄養素が育毛にも効果的であるといわれているようです。そこで今回のAGAタイムスは、ブロッコリーに含まれる栄養素やスルフォラファンが育毛にもたらす効果について解説します。

「スルフォラファン」とは、アメリカ合衆国メリーランド州にあるジョンズホプキンス大学のポール・タラレイ博士が発見したファイトケミカル(※)の一種です。様々な野菜を調査した結果、キャベツ、ケールなど他のアブラナ科の植物に含まれていることが分かっていますが、中でも発芽したブロッコリーの種子に特に多く含まれていることが判明しました。そんなスルフォラファンには、健康に大きな影響を及ぼすさまざまな効果があると注目されるようになりました。
※野菜や果物、穀類、豆類といった主に植物性食品に含まれる色素、香り、苦味、渋みなどの成分の総称。
人の体内では食品や空気中などに微量に含まれる有害物質や呼吸によって、体内に取り込まれた酸素の一部が変化し「活性酸素」が発生します。その活性酸素によって受けるダメージで人体は老化の進行を早め、さまざまな体の不調を引き起こす可能性があるといわれています。
人の体には有害物質を無毒化して体外に排出する「解毒力」や活性酸素を変換する「抗酸化力」が備わっており、それらの力により細胞へのダメージを防いでいます。スルフォラファンには解毒や抗酸化において重要な働きをする「酵素」の生成を促す作用があるため、積極的に摂取することで体の解毒力や抗酸化力を高めることができるといわれています。スルフォラファンによって生成が促される酵素は100種類以上あり、それらは「解毒酵素」「抗酸化酵素」と呼ばれ、体内のあらゆる臓器で作用します。
また、スルフォラファンの酵素を活性化する作用により、ある種の癌に対して効果が期待できるとされており、大きな注目を浴びることとなりました。
ピロリ菌はタバコや肝炎ウイルスと並んで世界保健機構(WHO)が認める癌を誘発する危険因子ですが、スルフォラファンには、このピロリ菌に対する殺菌作用があることが報告されています。また、スルフォラファンを高濃度に含む発芽3日目のブロッコリースプラウトを継続摂取した結果、胃粘膜の炎症が抑えられ胃の状態が改善したという研究結果もあります。
スギ花粉が体内に入ると、イムノグロブリンE(IgE)とよばれる抗体が体内で生成されます。このIgEにはヒスタミンという成分の生成を促す作用があり、ヒスタミン量が体内で増えることで炎症が引き起こされ、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が現れます。
スルフォラファンには、このIgEの生成を抑制する作用があることが報告されています。花粉症モデルマウスを用いた試験でも、ブロッコリースプラウトエキスの摂取によって、スギ花粉抽出物の投与で誘導される好酸球数を低下させ、スギ花粉による花粉症の程度を抑制できたという内容です。
飲酒後に起こる頭痛や吐き気などの悪酔い症状は、アルコールが代謝される過程で発生する「アセトアルデヒド」という成分の血中濃度が高くなることで引き起こされます。
マウスを用いた実験によって、スルフォラファンにはアセトアルデヒドの代謝に関わる酵素の生成を促し、代謝を促進する作用があることが示されました。
スルフォラファンには、腸内環境を整えるために必要な抗酸化酵素を活性化させる作用があるため、スルフォラファンを高濃度に含むブロッコリースプラウトを1日20g、4週間食べ続ける試験を行った結果、便通スコア(※)が改善されたという研究結果が報告されています。
※排便頻度や排便に要する時間など、8つの要因を点数化したもの
AGE(※)は、体内に蓄積されると見た目や体調にさまざまな衰えを生じさせることから、老化の原因物質のひとつであると考えられています。
スルフォラファンにはAGEの形成を抑制する作用があることが判明しており、ブロッコリースーパースプラウトの摂食で血中のAGE濃度を低減させる効果が期待できると報告されています。
※タンパク質と糖が結びつき、熱によって変性した物質
ここまで紹介したようにさまざまな効果が期待できるスルフォラファンですが、薄毛の主な原因とされる「AGA(男性型脱毛症)」の改善が期待できるとの報告が存在します。
この章では、なぜスルフォラファンにそのような効果が期待されているのかについて、くわしく見ていきましょう。
AGAは、男性ホルモンの一種「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という体内酵素と結合することで生成される「DHT(ジヒドロテストステロン)」が原因となり、ヘアサイクルに悪影響を及ぼすことで薄毛や抜け毛を招く症状です。

スルフォラファンには、このDHTを分解する酵素「3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)」の量を増やす働きがあるため、AGAによる薄毛や抜け毛の症状を改善する効果が期待されているのです。
しかし、このブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンの薄毛予防効果についてはまだ研究段階であり、in vitro(試験管内での実験)やマウスなどを用いた生体内実験での研究結果となっています。ヒトでの臨床試験はまだ行われていないため、ブロッコリースプラウトを摂取しただけで薄毛改善の効果が期待できるとは言い切れないのが現状です。
しかしながら、正常な育毛を促進するためには、まず健康な体の維持も重要になります。スルフォラファンがDHTに働きかける作用は研究段階ではあるものの、育毛に不可欠な健康的な体をつくるための手段として考えると、ブロッコリースプラウトを毎日適量摂取することはおすすめできるといえるでしょう。
活性酸素については、過剰な産生あるいは酸化ストレスによる老化、がん、生活習慣病発症などとの関連が注目されがちですが、白血球から産生される活性酸素(スーパーオキシド、過酸化水素など)は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担っています。
また、細胞間のシグナル伝達や排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されているため「ただ消去すれば良い」というものではないことを理解しておきましょう。
ブロッコリースプラウトには、スルフォラファン以外にもビタミンA、K、Cなどの栄養素が豊富に含まれています。したがってスルフォラファンを摂取する際はサプリメントの活用も有効ですが、食材をそのまま食べ、さまざまな栄養を一緒に摂取するのがおすすめです。
またスルフォラファンは通常ブロッコリースプラウトの植物細胞内では、前駆体である「スルフォラファングルコシノレート」の状態で存在しています。これが、噛んだり砕いたりして細胞が壊れるときに同じ細胞内に含まれる「ミロシナーゼ」という酵素と結びつき、スルフォラファンに変化します。
前駆体の状態では熱に強いのですが、何らかの要因で細胞が壊れてスルフォラファンに変化すると熱に弱くなってしまうため、調理する際は加熱せずにサラダや料理のアクセントとして非加熱で摂取するのが望ましいでしょう。

ここまでに説明してきた通り、スルフォラファンの育毛効果はあくまで研究段階です。食べれば薄毛が治ると断言出来るものではありませんが、健康的な体に導くための様々な効果が望めることは事実です。健やかな育毛環境を整えるためには、健やかな体である必要があります。したがって、薄毛の予防としてスルフォラファンを取り入れるのは良いことといえるでしょう。
しかし、AGAは進行性の脱毛症です。すでに“大量に髪の毛が抜けている”、“見た目に分かるほど髪の毛が薄くなっている”という場合は、薄毛の症状が進行している可能性が高いです。早めに診察を受け、より確実性の高いAGA治療を始めることをおすすめします。
AGAヘアクリニックでは、豊富なAGA治療の実績から患者様一人ひとりに適切な治療プランをご提案しています。AGAは進行性の疾患のため、早期の治療が大切です。当院はご相談・診察ともにいつでも何度でも無料ですので、ぜひ一度お越しください。
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