生活習慣と予防
ブラッシングのときに、ふと頭皮に小さな円形の脱毛斑(脱毛している部分)を発見したら驚く人は少なくないでしょう。大きなストレスや心配事はないはずなのに、何の前触れもなく発症してしまうのが「円形脱毛症」です。今回のAGAタイムスでは、円形脱毛症の特徴や原因、治療法など、現在判明している情報についてご紹介していきます。

円形脱毛症とは、主に丸く円状に毛髪が抜けてしまう後天性の脱毛症です。一般的には髪の毛が10円玉ほどの大きさの範囲で脱毛する症状が想像されますが、頭髪だけではなく全身で発症する場合もあります。
自覚症状はないことが多いですが、脱毛前や発症時に軽いかゆみや淡い紅斑が現れる場合もあります。また爪に小さな点状の凹みができるなどの変化がみられることもあります。
年齢や性別を問わず、誰にでも発症する可能性があるとされる円形脱毛症ですが、明確な原因はまだ解明されていません。そのため現状では日本皮膚科学会が定める「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)でも推奨度A(行うよう強く勧める)の治療法が存在しない疾患です。
円形脱毛症を発症した場合、様々な症状が現れることがあります。進行が止まることもあれば増悪していくこともあるため、早めの治療が大切です。脱毛が気になる場合は、このような症状がないかチェックしてみましょう。
脱毛部にこのような症状が現れた場合、円形脱毛症は回復期を迎えていると考えられます。
上記症状に思い当たるふしがある場合でも、必ずしも円形脱毛症を発症しているとは限りません。しかしながら、このような症状が出現している場合は円形脱毛症の可能性が高いため、早めに医師の診察を受けた方がよいでしょう。
円形脱毛症は症状によって、以下の5種類に分類されます。

このように円形脱毛症の脱毛斑が必ずしも10円玉程度の大きさでとどまるわけではなく、症状が進行すると頭部全体に広がってしまうことがあります。また眉毛や体毛といった、毛が生えた箇所であればどこでも発生する可能性があります。
円形脱毛症を発症する原因はまだ完全には解明されていませんが、その要因についてはいくつか解明されています。
現在、円形脱毛症の有力な原因として考えられているのが毛包組織に対する自己免疫機序です。免疫とは外敵を攻撃することで身を守ろうとする身体本来の正常な働きです。しかし何らかの理由によりこの免疫機能が異常をきたし、正常な組織まで攻撃してしまうことがあります。
円形脱毛症の場合、免疫機能の異常から「毛包に関わるタンパク質」を敵と見なして攻撃・破壊してしまい、その結果、脱毛を引き起こすのではないかと考えられています。免疫機能の異常が何がきっかけで生じるのかはっきりとはわかっていませんが、疲労や感染症などの肉体的ストレスや精神的ストレスが引き金となる可能性が示唆されています。実際には確固たる誘因がないことも多いです。
円形脱毛症は遺伝的背景も指摘されています。円形脱毛症と遺伝の関係についてもまだ解明されていない部分が多くありますが、一親等内(親・子)に円形脱毛症を発症した家族歴がある場合、発症率は約10倍であるとされています。また一卵性双生児の場合は両者が円形脱毛症を発症した際、症状の一致率が55%ほどであるのに対し、二卵性双生児では0%という報告もあるため、円形脱毛症が何らかの遺伝的要因を持つ可能性は高いと考えられています。
円形脱毛症患者のうち、約4割が皮膚炎や鼻炎などになりやすいアトピー素因を持っているという報告があります。そのためアトピー素因が何らかの形で関与している可能性が示唆されています。
昔から円形脱毛症の原因はストレスによるものという説がありますが、医学的な根拠に乏しく、乳幼児でも発症しうる疾患であることから、現在ではストレス原因説には否定的な見解が多くなってきています。しかしストレスをトリガーとして免疫機能異常が生じる可能性も考えられるため、ストレスと円形脱毛症は全く無関係であるとも言い切れません。
円形脱毛症は原因など明らかになっていない部分が多く、まずは医師による早期発見・早期治療が重要です。それ以外には生活習慣の改善も考慮すべきです。生活習慣の改善により毛細胞が活発化し、抜け毛の予防や改善に繋がる可能性があります。円形脱毛症の直接的な治療になるわけではありませんが、症状が気になる場合は普段の生活を見直し、毛髪環境を改善しましょう。
人体の正常な発育や代謝、細胞の修復などを促しているホルモンの一種「成長ホルモン」は健康な髪の毛を生育させるためは非常に重要だとされています。成長ホルモンは睡眠中に最も分泌されることがわかっており、質の良い睡眠ほど分泌が活発化するとされています。そのため正常な育毛を促すには日頃から良質な睡眠をとるよう心がけることが大切です。質の良い睡眠をとるためには体温調節による睡眠導入や睡眠中に成長ホルモンが分泌されるタイミングなどを知っておくとよいでしょう。

正常な育毛を促すうえで、なるべく健康体を保つことは重要だとされています。健康的な体づくりのためにも、食生活においては1日3回の食事をできるだけ栄養バランスを意識してとることが大切です。さらに育毛によいといわれている栄養素や食材を積極的に取り入れていくとよいでしょう。
髪の毛は18種類のアミノ酸が結合したタンパク質の一種「ケラチン」を主成分として構成されています。ケラチンはアミノ酸とアミノ酸が繋がったペプチドという単位のタンパク質です。アミノ酸が吸収・結合されることによって作られます。そのため健康的な髪の毛を育むにはタンパク質の摂取が重要だといわれています。
ビタミン類も髪の毛の成長に大きく関わっているとされています。皮膚で構成される頭皮を健康に保つためには、コラーゲンの生成に必須のビタミンCや抗酸化作用を持つビタミンE、タンパク質の働きをサポートするビタミンB群などが必要不可欠なのです。
ストレスは円形脱毛症の直接原因にはならないとされていますがストレスを溜め込むと抜け毛に繋がる可能性があります。
ストレスを感じると副腎皮質から分泌されるホルモンの一種「コルチゾール」の血中濃度が上昇します。コルチゾールはタンパク質や脂質の代謝に関与し、生命の維持には欠かせないホルモンです。しかし過度なストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されると免疫機能が低下したり糖尿病や心筋梗塞などのリスクが高まります。正常な育毛には健康体であることが重要だと考えられているため、ストレスは日頃から緩和しておいた方がよいといえるでしょう。
また、ストレスが薄毛に繋がる主な要因は、ほかにもいくつか考えられます。
このようにストレスに起因して抜け毛や薄毛が起こることも考えられます。
ストレスが溜まりやすい場合は趣味に没頭するなど自身にあったストレス発散方法を見つけたり、適度な運動などでストレスを緩和したりするとよいでしょう。
人の目が気になるようであれば、ウィッグやかつら、帽子を取り入れることもひとつの対策です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)ではかつら着用患者に対する調査でQOL(※1)向上が優位にみられたとの報告もあります。薄毛部位を覆うことで自覚的な安心感や他者からの視線軽減など心理的なストレスをやわらげられる場合もあるため、効果的だと考えられています。
※1:Quality of life=生活の質
健康的な髪の毛を育てるためには、健康体の維持とあわせて健やかな頭皮を保つことも重要とされています。健康的な頭皮を維持するには日頃のシャンプー方法を見直したり、頭皮マッサージなどで血行を促したりすることも大切です。
またシャンプーの成分を知ることで自身の頭皮のタイプに合ったシャンプーを選ぶことができます。
現在、ガイドラインに記されている円形脱毛症の治療法で最も推奨度が高いとされる「B(行うよう勧める)」の評価を受けている治療法は、以下の4つです。
ステロイド局所注射療法、局所免疫療法、ステロイド外用療法は主に皮膚科で受けることができます。
ただし治療適応がある場合とそうでない場合があるため、すべての円形脱毛症患者に行われるわけではありません。円形脱毛症は自然治癒することもあるため場合によっては経過観察となるケースもあります。
また最近では、抗ヒスタミン薬が円形脱毛症治療に有効であるとの報告も多くあります。その他にも、患部に液体窒素や雪状炭酸を圧抵させる「雪状炭酸圧抵療法」と呼ばれる治療法などが存在します。症状や進行度合いによって治療法が異なってくるため、症状が悪化する前に病院で医師の診察を受けるようにしましょう。
AGA(男性型脱毛症)の治療に用いられる発毛剤「ミノキシジル」は、円形脱毛症に対する効果としては十分に実証されていません。これは円形脱毛症とAGAの原因が異なることも影響している可能性があります。円形脱毛症は自己免疫の異常が主な原因であると考えられているのに対し、AGAは主に男性ホルモンに起因する脱毛症です。男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」が前頭部から頭頂部に生えている髪の毛の成長を阻害することでヘアサイクルが短縮します。
ミノキシジルは発毛を促す作用があり、AGAによる脱毛症状に効果を発揮することが十分に実証されています。しかし円形脱毛症には効果が全くないというわけではなく、海外ではミノキシジルの円形脱毛症に対する治療実績も存在します。少ない症例ではあるものの、国内でもミノキシジルによって円形脱毛症の改善が見られたとの報告があるため、ガイドラインでは推奨度C1とされ、単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして行なってもよいと評価されています。
当院にも「AGAだと思っていたら円形脱毛症だった」という患者様や「円形脱毛症を改善する治療薬が欲しい」といった患者様がご来院することがあります。円形脱毛症の脱毛斑がミノキシジルで発毛する場合もありますが、より適切な治療を行うためにも、AGAでなかった場合は皮膚科院など症状に合った病院をご紹介させていただいております。
円形脱毛症は早期に適切な処置を受けることで予後が改善される疾患です。しかし再発の可能性が高かったり、鏡で見えにくい部分の脱毛斑には気付きづらかったりするなど、注意が必要な疾患です。円形脱毛症を発症してしまった場合は一人で抱え込まず、まずは医師に相談してください。医師の診察で適切な処置やアドバイスをもらうことができるため早期改善の可能性が高くなります。
万が一、病院で「円形脱毛症ではなくAGAである」と診断された場合はAGA治療専門の病院へ行くことをお勧めします。AGAヘアクリニック(以下、当院)はAGA治療専門の病院です。男性のAGAや女性のびまん性脱毛(FPHL等)の治療を専門に行なっております。当院では誰もがご納得いただける薄毛治療を目指しており、医師による診察や相談に料金は発生いたしません。まずはお気軽に当院でご相談ください。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。