脂漏性皮膚炎と抜け毛の関係は? 原因や対策方法、治療法まで解説

脂漏性皮膚炎と抜け毛の関係

脂漏性皮膚炎とは皮脂の過剰分泌が原因で起こる疾患で、頭皮や顔面など皮脂分泌量が多い場所に発症しやすいとされています。脂漏性皮膚炎が発症した部位には、赤みやかゆみ、やや黄色味を帯びた湿り気のあるフケ、もしくは乾燥した鱗状のフケなどの症状が現れやすいとされ、脂漏性皮膚炎であるかを判断する一つの基準ともなっています。

赤みやかゆみなど脂漏性皮膚炎による頭皮環境の悪化は、髪の毛の正常な成長を妨げ、抜け毛や薄毛を引き起こす可能性があります。

脂漏性皮膚炎と抜け毛の関係

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎はどのようにして引き起こされるのでしょう。現在、原因がはっきりと解明されているわけではありませんが、皮膚に常在する「真菌マラセチア(癜風菌/でんぷうきん)」という酵母(カビ)が大きく関係していると考えられています。

真菌マラセチアは皮脂や汗などを栄養とする酵母で、普段は雑菌や細菌の繁殖を防ぎ頭皮の健康を保つ働きをしています。しかし、何かしらの原因により皮脂分泌が過剰になると、発育に脂質を要求する特性を持つ真菌マラセチアが異常繁殖し、脂漏性皮膚炎を引き起こすと考えられています。頭皮の皮脂バランスを乱す原因としては以下のものが関係しているとされています。

生活習慣の乱れ

偏食、睡眠不足、過度なストレスなどは皮脂分泌量を乱し、脂漏性皮膚炎を引き起こす原因になり得ます。

例えば、スナック菓子、肉類などの脂肪分が多い食べ物や、甘いものなどの糖質の高い食べ物を多く摂取していると、頭皮の皮脂分泌量が増加する原因となる可能性があります。また、過度な睡眠不足やストレスにより自律神経のバランスが乱れると交感神経が優位に働き、皮脂分泌量の増加を招く場合もあると考えられています。

間違ったヘアケア

シャンプーの種類と洗髪方法が脂漏性皮膚炎の原因となっている場合もあります。シャンプーには「高級アルコール系シャンプー」や「アミノ酸系シャンプー」などいくつかの種類があり、種類ごとに含まれる成分、洗浄力が異なります。

中でも高級アルコール系シャンプーと呼ばれるシャンプーは洗浄力が強く、汚れがしっかり洗い流せる反面、頭皮や髪の毛にとっては刺激が強く頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまう可能性があります。その結果、皮脂バランスが乱れ、過剰に失われた皮脂を補おうとする逆のメカニズムが作用して、結果的に皮脂分泌が増えてしまっている場合もあります。また、1日に何度も洗髪をする習慣がある方も同じ理由で皮脂分泌が増加してしまう可能性があります。

ホルモンバランスの変化

男性ホルモンである「テストステロン」には皮脂分泌を増加させる働きがあり、女性の場合は、妊娠を司るといわれる「プロゲステロン」に皮脂分泌を促進する働きがあるといわれています。今までは特に皮脂が多いと感じていなかった場合でも、加齢、ストレス、妊娠・出産などをきっかけにホルモンバランスが変化し、皮脂分泌が増える場合もあります。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎とAGAとの違い

脂漏性皮膚炎とAGAでは、発生機序が異なります。前に述べたように脂漏性皮膚炎は頭皮の真菌マラセチアの異常繁殖が主な原因とされていますが、AGAは悪玉男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)が主に関係して発症する疾患です。また、脂漏性皮膚炎は年齢や性別問わず発症しますが、AGAは思春期以降の男性に発症しやすいとされており、脂漏性皮膚炎とAGAでは症状の現れ方にも違いが認められます。このように2つの疾患の根本的な原因が異なり、脂漏性皮膚炎とAGAを併発する可能性もあります。

脂漏性皮膚炎の改善方法

脂漏性皮膚炎の改善方法をいくつかご紹介します。

食生活を改善する

脂分や糖分が高い食事を控えるとともに、ビタミンB類を含む食品を摂取するよう心がけるとよいでしょう。ビタミンB類は脂質や糖質の代謝をサポートする働きやホルモン調整因子としての働きを持ち、皮膚状態を健康に保つために欠かせない栄養素です。

また十分な睡眠をとること、ストレスを溜めないように工夫することも大切です。スムーズな入眠を促すためにも就寝2時間前までに食事を済ませるようにしたり、就寝前のアルコールやタバコなどを控えたりするようにしましょう。

さらに適度な運動は睡眠の質を向上させるだけではなく気分転換にもなり、ストレス発散効果が期待できます。読書、お出かけ、映画鑑賞など自分に合ったストレス発散方法を見つけ、ストレスを溜めすぎないよう心がけることも大切です。

正しいヘアケアを行う

頭皮を清潔に保とうと1日に何度もシャンプーを行う習慣がある方は、その習慣が逆効果になっているかもしれません。過度なシャンプーは頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、逆に過剰な皮脂分泌を促す原因になる可能性があるため、1日1回までに回数を減らすことをおすすめします。もしくは、シャンプーの使用は1日1回までとし、2回目以降はお湯のみで洗浄する「湯シャン」に置き換えてもよいでしょう。

また洗髪する際に爪を立ててしまうと頭皮に傷ができ、そこから炎症が生じる場合もあるため指の腹をつかい丁寧に行うようにしてください。お湯の温度もぬるめの温度での洗髪をおすすめします。使用するシャンプーに関してはアミノ酸系シャンプーなど頭皮への刺激が穏やかな種類を使用するのがおすすめです。

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医療機関を受診する

生活習慣の見直しや正しいヘアケア方法で対策を行うことも大事ですが、医療機関を受診し、正しい対策方法を知ることも大切です。抜け毛が起きている原因が必ずしも脂漏性皮膚炎とも限りませんし、脂漏性皮膚炎だったとしても何が原因で脂漏性皮膚炎を発症しているのかは人によって異なります。また、AGAなど他の疾患などを併発していないかを確認する意味でも、一度医療機関の受診をおすすめします。

脂漏性皮膚炎の治療法

脂漏性皮膚炎の治療では主にステロイド剤外用薬もしくは抗真菌薬であるケトコナゾール外用薬を使用します。ステロイド剤は副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンを基につくられた医薬品で、皮膚の炎症を抑える働きを持ちます。一方、ケトコナゾール外用薬は脂漏性皮膚炎の原因ともされる真菌マラセチアを殺菌することで症状を改善させます。

ステロイド剤は即効性が高く、優れた効果を持つ治療薬ですが長期的に使用すると局所的な副作用が起こる可能性があるため、ある程度症状が改善したら使用を中止するのが一般的です。しかし使用を中止すると再発しやすいため、弱いステロイド剤に変更するなどして様子をみる場合も多いです。

ケトコナゾール外用薬はステロイド剤より即効性は低いものの、使用中止後も再発までの日数が長く、副作用も少ないと報告されています。それぞれの治療薬の持つ特徴から、症状が強い初期段階は主にステロイド剤で治療を行い、症状が落ち着いてきたらケトコナゾール外用薬の使用に切り替えて様子をみていくケースが一般的です。

脂漏性皮膚炎の治療法

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